シンガポールMAS、ステーブルコイン法制化へ始動——準備金100%・利息禁止の新ライセンスを提案

シンガポール金融通貨庁(MAS)は2026年9月1日、ステーブルコインの発行を正式な規制業務と位置付ける支払サービス法(PS Act)改正案を盛り込んだ市中協議文書(整理番号P015-2026)を公表しました。対象はシンガポールドルまたはG10通貨に連動する単一通貨型ステーブルコイン(SCS)で、発行体には準備資産の100%裏付け、額面での償還、健全性・情報開示要件を満たす専用ライセンスの取得が求められます。基準を満たした発行体のみが「MAS規制ステーブルコイン」の呼称を用いることができ、意見募集の期限は2026年10月16日午後11時59分(シンガポール時間)までとなっています。

今回の提案の背景には、資産のトークン化が拡大する中で、信頼性の高い決済手段としてのステーブルコインの重要性が増している事情があります。MASの金融監督担当副長官であるホー・ハーン・シン氏は、本改正案が価値の安定性とガバナンスに関する高い基準を満たすステーブルコインに明確な規制上の指針を与えるものだと説明しています。提案には複数法域にまたがる発行体や海外発行のステーブルコインへの対応、準備資産から生じる運用益の扱いに関する意見募集も含まれており、2023年に確定した既存の枠組みを実務に即して更新する狙いがあります。

制度化されれば、発行体には四半期ごとのストレステストの実施や、不正に関連するトークンの追跡・凍結・焼却への対応能力、システム上重要なステーブルコインが要件を満たさない場合の流通制限などが課される見通しです。香港では2025年8月にステーブルコイン条例が施行され、2026年4月に香港金融管理局(HKMA)が最初の発行体2社にライセンスを付与済みで、英国でも金融行動監視機構(FCA)が2026年6月に最終規則を公表するなど、主要金融センター間でルール整備競争が進んでいます。シンガポールも今回の法制化により、香港や英国に並ぶ規制の明確性を打ち出す構えです。


参照 : https://www.gibsondunn.com/singapore-publishes-draft-legislation-to-implement-its-stablecoin-framework/

最新の投稿

カテゴリー