シンガポール金融管理局(MAS)は2026年7月31日付で、所得税法第13D条、13O条、13OA条、13U条に基づくファンド向け税制優遇制度に関する通達を発出しました。非シングルファミリーオフィス(非SFO)ファンドに課されていた「指定投資における最低運用資産(AUM)要件」を、2025年1月1日に遡って撤廃したことが明らかになりました。あわせて、物理的な貴金属(IPM)への投資に設けられていた5%の上限も、2026年8月1日付で撤廃されています。
この見直しの背景には、シンガポールをアジア随一のファミリーオフィス拠点として強化する狙いがあります。同国のシングルファミリーオフィスは2020年の400件未満から2025年末時点で2,000件超へと急増しており、運用の柔軟性を高めつつ実質的な資産運用機能を担保する必要性が高まっていました。貴金属投資上限の撤廃は、MASによる中央銀行向け金保管サービスの導入やシンガポール証券取引所の店頭金清算システム構築など、金を軸とした国際金融拠点化戦略とも軌を一にしています。
銀行口座維持要件が明記されていなかった既存の資格認定ファンドには、2026年8月1日から3か月の猶予期間が与えられ、その間にMASライセンス金融機関で口座を開設する必要があります。また、トークン化された指定投資持分についても、直接保有と同等の権利を持つ場合はDIとして認められることになりました。今回の制度緩和により、新規のファミリーオフィス設立や既存ファンドの運用コスト低減が見込まれ、シンガポールの国際資産運用拠点としての競争力はさらに強まるとみられます。














