香港を拠点とする複合企業CKハチソン・ホールディングスは2026年8月20日、パナマ政府を相手取り国際仲裁手続きを開始し、15億ドルを超える損害賠償を求めていることを明らかにしました。同社は、パナマが投資保護条約に違反する「主権的行為」により、パナマ運河の両端に位置するバルボア港およびクリストバル港の運営権(コンセッション契約)を消滅させ、ターミナルを接収したと主張しています。パナマ政府および大統領府は、この提訴に対し即座のコメントを出していません。
この紛争の背景には、米中間の緊張激化があります。パナマ最高裁判所は2026年2月、CKハチソン子会社パナマ・ポーツ・カンパニー(PPC)が保有していたコンセッション契約を違憲と判断し、政府はバルボア・クリストバル両港を接収しました。トランプ大統領が就任後、中国がパナマ運河を「支配している」と主張したことを契機に、香港の富豪リー・カーシン(李嘉誠)家が率いるCKハチソンの資産は米中対立の渦中に置かれてきました。同社は前年、パナマの2港を含む港湾事業全体を、米投資会社ブラックロックが主導するコンソーシアムに230億ドルで売却する計画を発表していましたが、地政学的緊張と法的係争により交渉は進展していません。
CKハチソンは今回の条約仲裁について、子会社PPCが3月以降に単独で進めてきた契約仲裁(請求額は20億ドル超に拡大済み)とは別個の手続きであると説明しています。法律専門家は、投資条約仲裁は一般的に長期化する傾向があり、解決までに少なくとも3年程度を要する可能性があると指摘しています。今回の提訴は、パナマの投資環境に対する国際的な信認や、同国と関係を持つ香港系・中国系企業の条約上の権利保護のあり方に一石を投じるものとして注目されます。














