シンガポール金融管理局(MAS)は、暗号資産へのエクスポージャーを持つ現地登録銀行に対し、その保有状況をMASへ通知したうえで健全性上の取り扱いについて協議するよう求めていることが明らかになりました。国際的なバーゼル委員会の基準に沿った暗号資産の健全性規制については、2027年1月1日以降、あるいはそれ以降へと実施が延期される一方、MASは経過期間中、許可を要さないブロックチェーン上の暗号資産へのエクスポージャーを、銀行のTier1(基本的自己資本)の2%以内に制限する案を示しています。
これに合わせて7月28日、MASとシンガポール銀行協会(ABS)は、AIを活用したサイバー攻撃や量子コンピューティングによる将来的なリスクへの防御力強化を目的とする新たなタスクフォース「ACT」を共同で立ち上げました。DBS、OCBC、UOBといった同国を代表する銀行の幹部が参加しており、同組織自体は5月から実質的な活動を開始しています。背景には、世界の金融機関がAIを用いた攻撃の高度化や、将来的な量子技術による暗号解読リスクの増大に直面している状況があり、シンガポールは暗号資産・サイバー・量子という複数のリスクを一体的な課題として捉える姿勢を鮮明にしています。
MASは今後、各金融機関に対し、モバイルバンキングや決済認証、顧客データベースなど暗号技術が使われているシステムの棚卸しを求め、量子技術によって将来的に解読されうる脆弱なシステムを特定したうえで、優先的に量子耐性のある技術への移行を進めるよう促す方針です。2027年からの本格的な健全性規制の適用を見据えつつ、規制の実施を急がず監督体制の整備を先行させることで、シンガポールは金融ハブとしての信頼性と技術革新への対応力を両立させる構えです。














