米国、ベトナムと「関税20%協定」合意:アメリカ輸出品はゼロ関税へ

米国とベトナムは、2025年7月2日に新たな通商合意を発表した。トランプ米大統領によれば、この合意により米国はベトナムからの輸入品に20%の関税を課す一方、米国からベトナムへの輸出品は完全にゼロ関税となる。さらに、中国などからベトナム経由で米国に輸入される製品については40%の関税が適用されるとした。トランプ氏は、この合意を「TOTAL ACCESS(全面市場開放)」と称し、米国にとって有利な交渉結果であると強調した。

この背景には、トランプ政権が進めている「Liberation Day Tariffs(解放記念日関税)」と呼ばれる大規模な関税政策がある。2025年4月、トランプ氏は全ての輸入品に対してベース10%、最大46%の関税を課す構想を打ち出し、7月9日をその発動期限としていた。この構想は各国に通商交渉の圧力をかける狙いがあり、今回のベトナムとの合意はその一環とみられる。ベトナムは当初、最大46%の関税対象国となる可能性があったが、交渉の結果、20%で合意に至った形だ。

今回の合意では、ベトナム側も米国製品に対する関税を撤廃する姿勢を示し、特に航空機、テクノロジー、農業製品など米国の主力輸出品がベトナム市場に参入しやすくなると見込まれている。一方で、ベトナム製アパレルや家具などに20%の関税が課されることで、米国内の小売業界や消費者にとっては価格上昇のリスクが指摘されている。

株式市場ではこの発表を受けてナイキやルルレモンといったベトナムに生産拠点を持つ企業の株価が一時的に上昇したが、詳細な関税率が明らかになるにつれ利益確定の売りが出るなど、不透明感も広がった。また、今回の合意は中国製品の「迂回輸出」を取り締まる意図もあり、トランプ政権が中国への圧力を強める中、東南アジア諸国の動向にも注目が集まっている。

さらに、米国では7月4日の独立記念日までに「One Big Beautiful Bill」と呼ばれる大型財政・税制改革案の成立を目指しており、関税収入を財源とする構想も含まれている。このため、今回の合意は単なる貿易問題にとどまらず、内政・財政政策とも密接に結びついている。

今後、同様の合意が他の国々とも進むかどうかは不透明だが、トランプ政権は「アメリカ製品の輸出促進」と「不公平貿易の是正」を掲げ、保護主義的かつ戦略的な通商政策を加速させている。ベトナムとの今回の合意は、その象徴的な第一歩と言えるだろう。

https://www.bbc.com/news/articles/c4gd66q0q7go