2025年7月2日、シンガポールで新たに施行された「詐欺からの保護法(Protection from Scams Act 2025)」が注目を集めています。この法律により、警察は詐欺に巻き込まれている可能性のある個人に対し、銀行やクレジットの利用を一時的に制限する命令を出せるようになりました。
この命令はあくまで「最終手段」とされており、まずは本人への説得など他の対応策が試みられた上で発令されます。命令が発効された場合でも、本人が日常生活に必要な支出や公共料金の支払いなど、正当な目的で資金を利用することは引き続き可能とされており、その都度警察の承認が求められます。
制限命令の有効期間は最大30日で、必要に応じて同じ期間を最大5回まで延長できます。つまり最長で180日間、段階的な延長が可能です。ただし、最終的な延長後は本人が詐欺行為を続けようとしている場合でも、命令は自動的に失効します。
今年1月の国会での法案審議では、当時の内務省国務大臣だったスン・シュエリン氏が「個人の自律と責任を尊重しつつ、被害から守るためのバランスを追求するもの」と説明しました。また、感情的なサポートが必要な被害者には、担当の捜査官を通じてケア担当官(victim care officer)との面談が手配されることも明言されています。
シンガポールではデジタル詐欺の手口が巧妙化しており、高齢者や外国人労働者などがターゲットになるケースも増えています。今回の法律は、被害拡大を防ぐための新たな手段として期待されており、金融機関と警察の連携が今後一層重要になると見られています。
個人の自由を制限するという難しさはあるものの、実際に詐欺被害から人々を守るための法的枠組みが整備されたことは、大きな一歩といえるでしょう。今後の運用状況やその効果に注目が集まります。














