セーシェルIBC、TIN取得要件を明確化——銀行口座開設とCRS対応で確認すべき実務ポイント

セーシェルの国際事業会社(IBC)をめぐり、Tax Identification Number(TIN:納税者識別番号)の取得要件について、実務上の確認が必要になっている。Uniwideが2026年4月28日に公表した解説によると、セーシェルIBCは会社設立時にTINが自動付与されるわけではない。TINは原則として、セーシェル国内で課税対象となる所得を得る場合に、Seychelles Revenue Commission(SRC)への税務登録を通じて発行される。 

具体的には、セーシェル国内で事業活動を行う場合、セーシェル国内に所在する物品を利用する場合、同国内で権利を行使する場合、セーシェルで働く従業員を雇用する場合、または多国籍企業グループ(MNE Group)の一員である場合などが、TIN取得の対象になり得る。一方で、収益がセーシェル国外のみから発生しているIBCについては、原則としてTINは発行されないと説明されている。 

この点は、銀行口座開設やCRS(共通報告基準)対応において重要な意味を持つ。多くの金融機関では、法人名義口座の開設や維持にあたり、税務上の居住地やTINの提出を求める。しかし、セーシェルIBCの場合、法人がセーシェルで設立されていても、国外源泉所得のみを得ているケースではTINが存在しないことがある。そのため、銀行からTINの提出を求められた際には、「TINがない=不備」ではなく、セーシェルの制度上、該当法人にはTINが発行されない可能性がある点を説明する必要がある。

Uniwideによれば、こうした場合、SRCは銀行手続きなどを目的としてTINを発行するのではなく、代替的にTax Residence Certificate(税務居住証明書)を発行することがある。つまり、セーシェルIBCにおいては、TINの有無だけで税務居住性を判断するのではなく、法人の所得源泉、事業実態、税務登録義務の有無を踏まえて確認することが重要となる。 

背景には、オフショア法人を取り巻く国際的な透明性強化の流れがある。CRSに基づく金融口座情報の自動交換では、金融機関が口座保有者の税務居住地や識別番号を確認する。セーシェルIBCを利用する企業や投資家にとっては、設立国、実際の管理地、所得の発生地、銀行が求めるKYC書類が一致しないケースもあり、事前に説明資料を整えておくことが実務上のリスク軽減につながる。

セーシェルは、比較的低コストで設立できるオフショア法人の管轄地として利用されてきたが、近年は経済実体、税務情報交換、実質的支配者情報、銀行コンプライアンスなどの確認が厳格化している。IBCを活用する際には、設立の容易さだけでなく、口座開設時に求められる税務書類、CRS自己申告、TINが発行されない場合の説明方法まで含めて準備する必要がある。

今回のSRCによるTIN要件の明確化は、セーシェルIBCの実務において、税務登録と銀行対応を切り分けて理解する重要性を示している。特に、国外源泉所得のみを扱うIBCでは、TINがないことを前提に、Tax Residence Certificateや法人書類、事業内容の説明資料を整備し、金融機関に対して制度上の根拠を示せる体制づくりが求められる。

https://www.uniwide.com/seychelles-revenue-commission-outlines-tin-requirements-for-ibcs