香港返還28年、政府トップが「社会統制の継続」を強調

香港の行政トップであるジョン・リー行政長官は、7月1日の返還28周年記念式典にて、「国家安全を堅持し、社会の安定を確実に保つ」と述べ、今後も厳格な社会統制を維持する姿勢を鮮明にしました。

1997年7月1日、香港はイギリスから中国に返還され、「一国二制度」のもとで言論の自由や集会の権利が認められてきました。しかし2020年に施行された香港国家安全維持法(国安法)以降、民主化を求める大規模な抗議活動はほぼ姿を消しています。

式典でリー長官は、「国家安全の断固たる維持と、国家全体への積極的な統合」を政府の基本方針とし、「経済成長と発展の促進」を目指すと強調しました。中国政府は近年、香港の企業人に対し、愛国心を持って国家への貢献を果たすよう呼びかけています。背景には、米中間の関税問題などで緊張が高まるなか、中国経済の一体化を図る狙いがあります。

さらに、今週木曜からは中国海軍の空母「山東」が香港に寄港し、一般公開される予定です。これは中国が自国の主権を誇示し、愛国心を高めるための象徴的な演出とも受け取られています。

香港はかつて、毎年7月1日に民主化を求める大規模デモが恒例行事となっていました。しかし、国安法の施行により言論や集会の自由が大きく制限され、市民の政治参加は目に見えて抑制されています。

今回のリー長官の発言は、香港が今後さらに中国本土との政治的・経済的一体化を進める姿勢を裏付けるものとなりました。一方で、かつての自由と自治を経験した市民の間では、こうした動きへの懸念も根強く残っています。香港の今後は、経済成長と国家統制のバランスをどう取るかが重要な課題となりそうです。

https://www3.nhk.or.jp/nhkworld/en/news/20250701_18