2025年6月26日、セーシェル共和国の大統領ワヴェル・ランカラワン氏が主宰する閣議が開催され、同国の経済・観光・行政分野に関わる重要な政策変更や新たな戦略が次々と承認されました。これらの決定は、持続可能な成長と国民サービスの向上を目指すセーシェルの明確な姿勢を示しています。
まず注目すべきは、事業税制度に関する修正です。法令「S.I. 13 of 2025」の改正により、2024年1月1日を発効日とする新ルールが導入され、対象事業や条項の明確化が図られました。これに加えて、「青経済(Blue Economy)」の一環として“魚類の保管および倉庫業”が投資優遇対象に加えられました。これは2024年の国家予算に基づくもので、漁業関連産業への投資促進を意図しています。
金融面では、セーシェル政府が開発銀行(DBS)の株式を欧州投資銀行(EIB)およびフランス開発庁(AFD)から買い戻すことを承認。財務・国家計画・貿易省の提案に基づき、国家主導の投資戦略をより柔軟に展開できる体制整備が進められます。
また、空港管理体制の再編にともない、事業税法、消費税法(VAT・Excise Tax)など関連法の改正が承認されました。これにより、セーシェル民間航空局(SCAA)が新たに設立される空港庁(SAA)に役割を引き継ぐ法的土台が整えられます。
観光分野では、2033年までを見据えた「クルーズ観光戦略」の策定が閣議で承認されました。経済の地域循環を高めるとともに、環境負荷を抑え、観光収益を地元住民と共有することを重視した長期戦略です。併せて、2025〜2035年にかけた「持続可能な観光政策フレームワーク」も採択され、ガバナンス強化・人材育成・文化保護・気候変動対策・データ活用という5本柱の下、各省庁が横断的に連携していく体制が整いました。
さらに、デジタル化施策として、2025年6月29日より国際空港で「セーシェル国民向けファストトラックレーン」の運用が開始されます。顔認証を含む非接触型のバイオメトリクス認証により、国民はより迅速に出入国できるようになり、利便性の向上とともに国際基準に沿った国境管理体制が実現されます。登録・利用に関して費用は発生せず、すべて無料で提供されます。
これらの一連の施策は、セーシェル政府が目指す「持続可能で強靭な国家」へのビジョンの表れといえるでしょう。税制度や投資環境の整備によって国内産業の活性化を促しつつ、観光業を次なる成長の柱としてさらに育て、同時にデジタルインフラを強化することで国際社会の中での競争力を高めています。
今後、これらの政策がどのように実行され、国民生活や経済全体にどのような変化をもたらすかが注目されます。セーシェルは、青い海と空だけでなく、明確なビジョンに基づく政策によっても、注目を集める存在になりつつあります。














