中米カリブ海に位置する小国ベリーズが、国際機関からの大型支援を受けて持続可能な経済発展に向けた新たな一歩を踏み出した。米州開発銀行グループ(IDB Group)は2026年3月、ベリーズ向けの新しい国家戦略「2026-2030年カントリー・ストラテジー」を正式に承認した。この戦略はベリーズ政府が掲げる国家開発計画「プラン・ベリーズ2.0」に沿った内容で、民間主導の投資拡大と財政の安定を両輪に、持続的・包括的な経済成長の実現を目指すものだ。
今回の戦略でとくに重視されているのが「ブルーエコノミー」の強化だ。ベリーズは、世界第二位の規模を誇るメソアメリカン・バリア・リーフを擁し、観光・農業・海洋産業において自然資本を活かした経済活動が盛んに行われてきた。IDBは近年のこれら分野での好実績を踏まえ、海洋・沿岸資源の持続可能な活用を競争力の源泉として位置づけ、ブルーエコノミーを長期成長のエンジンとして推進する方針を明確にした。同戦略ではサンゴ礁生態系の保護プログラムや持続可能な水産資源管理にも取り組むとされており、環境保全と経済発展を両立させるモデルとして国際社会からも注目を集めている。
戦略の柱は三つに整理される。第一の柱は「行政・財政能力の強化」だ。税務行政の近代化や公的財務管理の改善、デジタル政府の推進、官民パートナーシップ(PPP)枠組みの整備を通じて、財政の持続可能性を高めることが目標とされている。第二の柱は「民間セクターの競争力強化」で、強靭なエネルギーインフラへの投資と全国的な電力アクセスの普及、そして中小企業(MSME)向けの資金調達支援が柱となる。エネルギー分野では、世界銀行・カナダ政府との協調融資による5800万ドル規模のプロジェクトが2026年以降に本格稼働する予定で、再生可能エネルギーの比率引き上げが目指される。第三の柱は「人材育成と環境保護」で、教育・職業訓練への投資と水道・衛生インフラの整備が含まれる。
財政面では、2026年度の歳入予測は約17億4000万ドルで前年比約6%の増収が見込まれている。経済成長の継続や徴税強化・税基盤の拡大が寄与する見通しだ。一方で、公務員給与が歳出全体の56%を占めるなど、経常的な支出構造の硬直性は依然として課題として残る。
ベリーズはカリブ海と太平洋を結ぶ地理的優位性を持ちつつも、小国ゆえの財政脆弱性や気候変動リスクとも向き合っている。IDBによる中長期の支援フレームワークが示されたことで、外国直接投資(FDI)や民間ファイナンスの呼び水となることが期待される。豊かな自然環境を資源とするブルーエコノミー戦略は、環境保護と経済成長の共存を模索する世界的な潮流にも合致しており、ベリーズが小国ながらも独自の発展モデルを打ち立てられるか、今後の動向が注目される。














