香港政府が2026年6月12日に官報掲載した所得税(改正)法案は、従来プライベート・エクイティ・ファンドに限られていたキャリード・インタレスト(成功報酬)への実質ゼロ税率の優遇措置を、ヘッジファンドやプライベートクレジット、ベンチャーキャピタル、ファミリーオフィス、デジタル資産ファンドなど幅広いファンド類型に拡大する内容です。同法案は6月24日に立法会で第一読会を通過し、法案委員会による条文審査を経て、下半期の第二読会・第三読会の再開を待つ最終段階に入っています。
香港では従来、ヘッジファンドの業績連動報酬に最大17%程度の税率が課されており、プライベート・エクイティに限定されていた優遇措置の対象拡大を求める業界の声が高まっていました。シンガポールやアラブ首長国連邦(UAE)のドバイなど競合する資産運用ハブとの人材・運用資産の争奪戦が激化する中、香港政府は制度を刷新し、統一ファンド免税制度やファミリーオフィス税制の拡充とあわせて資産運用センターとしての競争力強化を進めています。
法案が成立すれば優遇措置は2025年4月1日にさかのぼって適用される見通しで、施行を見据えた組織再編の動きから、香港のヘッジファンド業界の人員はすでに約22%増加したと報じられています。一方で香港政府の財経事務及庫務局は、自己資金で取引する自己勘定トレーディング業者は「ファンド」の定義に該当せず優遇対象外であると明確化しており、対象範囲の線引きを巡る実務上の論点も残されています。














