ベトナム「企業法改正2025」始動──透明性・コーポレートガバナンス強化へ

7月1日から施行されたベトナムの改正企業法(Amended Law on Enterprises 2025)は、実質的受益者(ベネフィシャルオーナー)の開示義務を全面に押し出し、企業の透明性強化とコーポレートガバナンス改革を柱としています。改正法では、新規設立時に実質的受益者の氏名、国籍、保有割合、身分証明情報などを提出する義務があり、既存企業も事業登録情報に変更があるたびに10日以内の報告が必須です。さらに、企業解散後5年間は情報保存が求められ、政府機関は自由にアクセス可能とされました。

改正の背景には、2023年にマネーロンダリング監視機関FATF(金融活動作業部会)よりグレーリスト入りしたことが影響しており、国際的な透明性基準への対応が急務となっています。ただし、実質的受益者の定義に関して、25%以上の所有または重要な意思決定権を含む可能性があるものの、現時点では明確な基準は盛り込まれておらず、企業側には解釈上の課題も残されそうです。

この改正は、ベトナムが国際社会におけるビジネス環境整備と、信頼性向上に向けた取り組みとして大きな一歩であり、外国企業や投資家にとっても、透明性の高い企業活動を行う基盤の確立を意味します。今後、実際の対応方針や基準が詳細化されれば、ベトナム市場における遵守負担とともに、信頼性の強化にもつながるでしょう。

改正企業法の施行は、ベトナムが内外からの投資を誘致するうえで、透明性とガバナンスに裏付けられた信頼ある制度を築く重要な転換点となっています。今後は細則やデクリ―トにも注目が集まり、実務面での具体的なガイダンスが整備されることにより、企業活動の成熟化が見込まれます。

https://www.vietnam-briefing.com/news/vietnams-new-enterprise-law-2025.html