米国と台湾、半導体軸に大型貿易合意

アメリカと台湾が、半導体分野を中核とする新たな貿易協定で合意した。今回の合意は、台湾から米国への輸出品に課される関税の引き下げと引き換えに、台湾のテクノロジー企業が米国内で巨額の投資を行う内容となっており、米国の先端技術産業の強化を狙う一方で、中国の強い反発を招く可能性もはらんでいる。

この協定により、TSMCをはじめとする台湾の半導体メーカーが米国で生産能力を拡大した場合、米国に輸入する半導体に対してより低い税率が適用される。また、これまで20%課されていた台湾製品全般への関税は15%に引き下げられ、ジェネリック医薬品、航空機部品、一部の代替困難な天然資源については関税がゼロとなる。自動車部品や木材関連製品についても、関税は最大15%に抑えられる。

その見返りとして、台湾のテクノロジー企業は少なくとも2500億ドル規模の対米投資を行う見通しだ。半導体、エネルギー、人工知能分野での生産能力拡大が想定されており、この中には2025年にすでにTSMCが表明している1000億ドルの投資も含まれる。さらに台湾側は、追加投資を後押しするため、別途2500億ドルの信用供与を保証するとしている。

今回の投資拡大は、TSMC本体だけでなく、半導体製造装置や材料を供給する関連企業にも波及効果をもたらすとみられている。米アリゾナ州では、インテルの拠点を背景に多くの半導体関連企業が集積してきたが、TSMCの進出により、化学材料や電子材料を扱う中小企業の設備拡張も進んでいる。市場では、TSMCに製造を委託するエヌビディアの株価が上昇するなど、好感する動きも見られた。

協定では、米国内で新工場を建設・拡張する半導体メーカーに対し、建設期間中は新たに増設した生産能力の最大2.5倍相当まで、追加関税なしで半導体やウエハーを輸入できる枠も設けられている。すでに米国内に工場を持つ企業についても、増設分の1.5倍まで無関税での輸入が認められる。

一方で、トランプ大統領は一部のAI向け高性能半導体に25%の関税を課しており、半導体政策全体の行方には不透明感も残る。さらに、米連邦最高裁が大統領による広範な関税措置の権限について判断を下す見通しで、今回の台湾との合意が将来どのような影響を受けるかは現時点では不明だ。

台湾側は、米国が台湾のような科学園区を中心とした技術集積地を構築するための支援も申し出ているが、米国では人材や技能不足が課題となっている。今回の合意は、経済安全保障の観点から米台関係を一段と強化する一方で、米中関係に新たな緊張をもたらす可能性があり、その行方が注目される。

https://asia.nikkei.com/business/tech/semiconductors/us-taiwan-reach-trade-deal-focused-on-semiconductors