シンガポールのK・シャンムガム内政・国家安全保障調整担当相は、世界が多極化に向かう現状において、小国であるシンガポールが中国、米国、ヨーロッパとの関係を一層深める必要があると強調した。これは、貿易依存度が高い同国にとって、各国の政策変動が直接的な影響を及ぼすからだ。
シャンムガム氏は7月9日、Reuters NEXT Asiaサミットでのインタビューにおいて、「以前は米国が世界の平和を支えていたが、現在は多くの国が影響力を持つようになっている。それゆえ、小国としては各国とより深い関係を築くことが必要」と述べた 。米国については「不可欠な国」であり、その政策が「同盟国も非同盟国も問わず全ての国に影響を与える」と語り、貿易への重大な影響を分析した 。
さらには、シンガポールの対外貿易はGDPの3〜4倍に達し、米国は同国にとって主要な貿易相手であることから、米国の動きは特に重要だという 。背景には、米国が8月1日より14カ国に25〜40%の関税を課す通知を送付したこと、中国が米国主導のサプライチェーン排除策に対抗する姿勢を示していることがある 。
シンガポール自身は今回の関税通知を受けなかったものの、4月に導入された10%の基準関税により経済への影響が懸念されている。これを受け、2025年のGDP成長率見通しは従来の1〜3%から0〜2%に下方修正された ()。また、米国は貨物貿易で前年比84.8%増の28億ドルの黒字、サービスを含めた貿易全体では300億ドル規模となっており、2024年輸出の11%を占めると報じられている 。
このような地政学的・経済的環境の中で、シンガポールは中国、米国、そして欧州とのバランスを取りながら、さらなる連携強化を図ろうとしている。中国との関係は経済・文化・安全保障面で長く築かれており、EUとは自由貿易協定(EUSFTA)の交渉を進めるなど、地域的かつ戦略的な関係を深化させつつある 。
今後、シンガポールがどのように各大国と協調関係を築きつつ、経済的安定と戦略的自立性を保つのかは、東南アジアだけでなく国際社会全体にとって注目すべき課題である。














