シンガポールの港湾運営大手PSAインターナショナルが、香港のコングロマリットCKハチソンの港湾事業における20%の持分売却を検討していることが明らかになりました。この動きは、CKハチソンが同事業の80%を米投資会社ブラックロック主導のコンソーシアムに売却する計画に伴うもので、取引総額は約228億ドルに上ります。売却対象には、パナマ運河沿いの戦略的な2つの港を含む、23カ国43の港が含まれます。
この取引は、米中間の地政学的緊張を背景に、米国と中国の双方から注目を集めています。米国のトランプ大統領は、この取引を「パナマ運河の奪還」と称賛しましたが、中国の国営メディアは「中国の利益への裏切り」と批判し、中国の市場監督当局は独占禁止法の観点から調査を開始しました。
PSAは、2006年に44億ドルでCKハチソンの港湾事業の20%を取得しましたが、2022年にも売却を検討したものの、世界的な海運活動の減速により計画を中止していました。現在、CKハチソンとブラックロック主導のコンソーシアムは145日間の独占交渉期間に入っており、PSAの売却判断はこの取引の進展に左右されると見られています。
この取引が完了すれば、ブラックロック主導のコンソーシアムは、パナマ運河沿いの港を含む世界23カ国43の港を運営することになります。CKハチソンは、中国本土と香港の港湾事業は売却対象から除外しています。この動きは、米国のインフラ戦略の一環として、重要な海上輸送ルートへの影響力を強化する試みと見られています。
一方、中国はこの取引に強く反発しており、国家の利益に反するとして、CKハチソンとの新たな取引を控えるよう国有企業に指示を出すなど、圧力を強めています。このような状況下で、PSAの売却判断は、地政学的なリスクと商業的な利益のバランスを慎重に見極める必要があります。
今後の展開としては、CKハチソンとブラックロック主導のコンソーシアムとの交渉の行方、中国の規制当局の対応、そしてPSAの最終的な売却判断が注目されます。この取引は、世界の港湾業界における勢力図を大きく塗り替える可能性があり、引き続き注視が必要です。














