香港経済、逆風下でも「スーパーコネクター」として持続的回復を模索

香港経済は、米中間の貿易摩擦や世界的な保護主義の高まりといった外部環境の不安定さの中で、回復とリスクの狭間を慎重に進んでいる。2025年8月19日に発表されたASEAN+3マクロ経済リサーチオフィス(AMRO)の年次報告書によれば、香港は「スーパーコネクター」としての独自の立場を活かし、中国本土と世界をつなぐ役割を強化することで、逆風の中にも新たな機会を見出している。特に金融活動の活発化は、依然として国際金融ハブとしての存在感を示しており、今後も成長の一助となる可能性がある。

2025年前半の成長は、輸出活動の前倒しや観光需要の回復、外需の底堅さに支えられて堅調であった。しかし、後半から2026年にかけては、主要国の保護主義的政策の継続によって減速の懸念がある。一方で、各国間で新たな通商交渉が進展すれば、経済に上振れの余地も残されている。AMROは、香港の成長率を2025年は2.1%、2026年は1.9%と予測している。また、インフレ率は2025年1.8%、2026年1.6%と抑制的に推移すると見込まれている。

リスク要因としては、米中摩擦に伴う輸出への直接的影響は限定的とされるものの、世界需要の鈍化を通じた二次的影響が懸念される。国内面では、消費の低迷や不動産市場の不透明感が回復を抑制しており、金利低下にもかかわらず投資の本格回復は見通しづらい状況だ。さらに中長期的には、人口高齢化や地政経済的分断の進行が大きな課題として立ちはだかっている。

こうした中で、香港政府は迅速かつ的確な政策対応をとることが重要とされる。報告書は、景気急減速に備えた一時的かつ対象を絞った財政支援策の準備を提言している。特に低所得層や脆弱な世帯、影響を受けやすい産業への重点的な支援が求められる。また、財政健全化を進めつつも、税制の見直しによって収入源を多様化させ、競争力を維持しながら財政基盤を強化する必要があると指摘された。

さらに、労働市場の制約への対応と新たな成長分野の育成も不可欠だ。海外からの高度人材の獲得に加え、AIやフィンテック、サステナブルファイナンスなどの分野への積極的な投資が将来の競争力を左右する。特に「スーパーコネクター」としての役割を一層高め、多様な貿易・金融ネットワークを拡充することが、香港の持続的な成長と国際的地位の維持に不可欠とされている。

AMROの報告書は、香港が直面する課題の深刻さを示す一方で、金融拠点としての強みや新たな政策対応の可能性を示している。地政学的な緊張が高まる中でも、適切な施策を重ねることで、香港は今後も国際金融都市としての役割を維持し、新たな成長機会を掴むことができるかどうかが注目される。

https://amro-asia.org/hong-kong-china-sustaining-recovery-in-a-fragmenting-global-economy