香港、AI投資に10億ドル投入。デジタル経済へ転換。

香港政府は、2026年度予算案において、AI(人工知能)産業の育成とデジタル経済への移行を加速させるため、10億香港ドル規模の投資パッケージを打ち出しました。今回の予算案は、長引く財政赤字の解消を目指す一方で、従来の金融・物流に代わる新たな経済の柱として「イノベーションとテクノロジー」を強力に推進する姿勢を鮮明にしています。

具体的な施策の目玉となるのは、AIスーパーコンピューティング・センターの運用開始と、それに伴う企業のAI活用支援です。政府は、現地のスタートアップや研究機関が低コストで高度な計算資源を利用できるよう補助金制度を拡充します。また、知的財産(IP)の商業化を支援する「IPブリッツ」という新たな枠組みを導入し、香港をアジアにおける知的財産の取引ハブへと押し上げる計画です。これには、特許権などの無形資産から得られる所得に対して法人税を軽減する「パテント・ボックス」制度の運用強化も含まれています。

この背景には、国際的な税制改革や周辺諸国との投資誘致競争が激化する中で、香港が持つ「高度な法制度」と「中国本土へのゲートウェイ」という強みを再定義する必要性に迫られていることがあります。政府は、先端技術を持つ外国企業の誘致を最優先課題としており、ビザ発給の簡素化や研究開発費の税額控除など、ビジネス環境の整備を急いでいます。

今後の展望として、香港は単なるオフショア金融センターから、データと技術が交差する「テック・ハブ」としての地位を確立しようとしています。短期的には財政の引き締めが続くものの、AI分野への先行投資が数年後の経済成長を牽引すると期待されています。投資家や海外進出を検討する企業にとって、今後の香港は技術革新の実験場としての価値がさらに高まっていくことになるでしょう。

https://www.budget.gov.hk/2026/eng/index.html