中国の広東・香港・マカオをまたぐ広域経済圏であるGBA(グレーターベイエリア)に拠点を置く企業の間で、ASEANへの事業拡大を加速させる動きが一段と強まっている。UOB Hong KongとHong Kong Trade Development Councilが実施した最新の調査によると、回答企業の73%が今後ASEANでの事業展開を加速させる計画を持っていることが明らかになった。
調査では、今後3年間で優先的に進出・拡大を検討する市場として、Singapore、Vietnam、Thailand、Malaysia、Indonesiaが多く挙げられた。企業はASEAN展開に向けて平均で30%の追加リソースを配分する見込みで、特にベトナム、インドネシア、タイ、マレーシアへの投資増加が目立つという。
ASEAN戦略の中心は売上拡大であり、とりわけタイ、ベトナム、インドネシアでは販売強化が重視されている。一方で、生産拠点や調達拠点の拡充も重要な目的とされており、ベトナム、タイ、マレーシアが主要な生産・調達先として評価されている。販売市場としてASEANを重視する姿勢は依然として強く、ASEANでの販売拠点を拡大または維持したいと考える企業は前年比で25ポイント増加し、実に98%が同地域を主要な販売市場と位置づけている。
同時に、91%の企業がASEANでの生産・調達拠点を拡大または維持する意向を示しており、こちらも2024年から7ポイント増加した。販売と製造・調達の両面でASEANの重要性が高まっていることが、今回の調査から浮き彫りとなっている。
こうした中、すでに多くの企業が拠点を構えるシンガポールは、引き続き投資先として高い評価を受けている。調査によれば、企業はシンガポールに対してさらに23%のリソース増加を計画しており、その主な用途は資金調達機能や地域統括本部(リージョナルHQ)の運営だという。ASEAN全体を統括するハブとしての役割が、今後も強化される見通しだ。
一方で、ASEAN展開に伴う課題も明確になっている。最も多く挙げられたのは適切な現地パートナーの確保で、47%の企業が課題として指摘した。次いで、文化や言語の違いが46%、専門人材の確保が40%となっており、いずれも前年から大幅に増加している。市場拡大が進む一方で、現地適応や人材戦略の重要性が高まっていることを示している。
ESG(環境・社会・ガバナンス)への取り組みも加速している。調査では、83%の企業がすでに何らかのグリーン施策を進めていると回答し、2024年の81%から上昇した。さらに、96%が今後2年間でESG関連の資金を維持または増加させる計画を持ち、そのうち66%は投資を拡大する意向を示している。平均的なESG投資額は874,771ドルとされ、前年のほぼ2倍の水準に達した。
また、企業は香港の役割についても高く評価している。GBA都市およびASEANとの接続性については10点満点中7.9点、グリーンサービスについては8.8点と評価された。ASEAN展開を加速する企業の約3分の2が香港のプラットフォームを活用しており、9割以上がグリーンファイナンスやESG関連サービスなど、香港の持続可能性関連サービスの利用を検討、またはすでに拡大しているという。
今回の調査結果は、GBA企業にとってASEANが引き続き成長の中核市場であること、そして販売、生産、ESG投資の各分野で戦略的な重要性が一段と高まっていることを示している。今後は、現地パートナーの選定や人材確保といった課題への対応が、ASEAN展開の成否を左右する重要な要素となりそうだ。














