2026年2月5日に行われた中国外交部の定例記者会見では、パナマ運河の港湾運営権をめぐる問題や、中露・中米首脳間のやり取り、核軍縮、香港経済、さらには重要鉱物をめぐる国際動向まで、幅広いテーマについて中国側の立場が示された。
会見で特に注目を集めたのは、パナマ最高裁が中国・香港系企業であるCKハチソンによるパナマ運河両港の運営権を違憲と判断した問題である。中国側は、この判断について繰り返し「中国企業の正当かつ合法的な権益を断固として守る」と強調し、国家として企業の利益を守る姿勢を明確にした。中国国務院港澳弁公室が2月3日に発表した論評にも言及し、今回の判決は事実を無視した不誠実な行為であり、香港企業の合法的権益を深刻に損なうものだとの認識を示している。
CKハチソン側が国際仲裁を含む法的手段を取ると表明した点についても、中国政府としての立場は変わらず、中国企業の権利擁護を揺るがせにしないと述べるにとどめた。一方で、中国政府が国有企業に対しパナマでの新規事業協議を停止するよう指示したとの報道については、具体的な事実関係への言及を避けつつ、従来の立場を繰り返す形となった。
外交面では、2月4日に行われた中国国家主席とロシア大統領によるオンライン会談についても説明があった。両首脳は二国間関係および国際・地域情勢について意見交換を行い、戦略的な意思疎通を継続していることが強調された。ロシア側からは、2026年前半にロシア大統領が中国を訪問する予定であるとの発言があったが、詳細については改めての発表に委ねられた。
同日には中国国家主席が米国大統領とも電話会談を行っており、これが中露米三国による政策調整を意味するのかとの質問も出たが、中国側はあくまで各国間で合意された日程に基づく個別の首脳外交であると説明している。
また、米露間の新戦略兵器削減条約(新START)の失効に関する質問に対しては、中国は核兵器問題において最大限の慎重さと責任を持って行動していると強調した。中国は先制不使用政策を堅持し、核戦力を国家安全に必要な最小限に抑えており、米露と同水準の核戦力を持たない以上、現段階で核軍縮交渉に参加する考えはないと明言した。その上で、新STARTの失効は国際的な戦略的安定にとって遺憾であり、米国がロシアの提案に前向きに応じ、対話を再開することを期待すると述べている。
経済分野では、在香港米国商工会議所が発表した2026年ビジネス意識調査についても言及された。多くの米国企業が香港を競争力のある国際ビジネス拠点と評価し、本社移転の計画がなく、法の支配にも高い信頼を示している点を挙げ、中国側は香港の将来性と「一国二制度」の下での長期的な繁栄に自信を示した。
さらに、米国主導で発足した重要鉱物取引同盟に関しては、中国は国際的なサプライチェーンの安定と安全を重視し、排他的なブロック形成によって国際貿易秩序を乱す動きに反対するとの立場を表明した。
今回の会見全体を通じて、中国は自国企業の権益擁護、戦略的安定を重視する外交姿勢、そして国際経済秩序における自国の立場を改めて明確にした形となっている。今後、パナマ運河問題や核軍縮、国際経済の枠組みをめぐり、中国がどのような具体的行動を取るのかが注目される。














