シンガポール貿易産業省(MTI)は8月12日、2025年通年の経済成長率予測を従来の0〜2%から1.5〜2.5%へと上方修正した。上半期の予想を上回る好調な成長が背景にあるが、同省は依然として先行きには不透明感が残り、リスクは下振れ方向に傾いていると警告している。
第2四半期(4〜6月)の国内総生産(GDP)は前年同期比4.4%増と速報値の4.3%からわずかに上方改定され、第1四半期の4.1%増からも改善した。これにより、上半期全体の成長率は4.3%となった。前期比(季節調整済み)では1.4%の成長となり、第1四半期の0.5%減から反転。2期連続のマイナス成長を避け、テクニカル・リセッションは回避された。
MTIは、米中間の関税戦争の影響が4月時点で深刻化すると見込み、当時は予測を引き下げていた。しかしその後、米国が90日間の報復関税の一時停止を決定し、複数の主要貿易相手国と関税引き下げで合意。これにより生産や輸出の前倒し需要が生まれ、先進国や地域経済は予想以上に底堅い動きを見せた。米中間の協議も継続しており、関税休戦の延長の可能性も残されている。
とはいえ、後半にかけては主要貿易相手国の成長が鈍化すると見込まれている。米国では労働市場の冷え込みや消費の減速、欧州では米国関税発動後の輸出減、中国では輸出成長の鈍化が予測される。東南アジア諸国も関税や内需の弱まりで成長が抑制される見通しだ。さらに、米国の貿易政策の不透明さや金融市場の急変動、地政学的緊張の高まりによるエネルギー価格の再上昇など、複数の下振れリスクが指摘されている。
セクター別では、13分野のうち外食(F&B)サービスのみが前年割れとなり、0.5%減少。建設は公共・民間ともに好調で前年同期比6%増、卸売業は4.7%増と加速した。製造業は化学や一般製造を除く全クラスターで生産が増加し、5.2%の成長を記録した。ただし、製造業の前期比はマイナス0.4%と依然として弱さが残る。
MTIは、後半は輸出型産業の成長鈍化が全体の足を引っ張る可能性がある一方、輸送工学や精密工学分野が明るい材料になるとしている。小売や飲食、金融・保険分野は引き続き低調な推移が予想される。今回の上方修正は前半の好調を反映したものの、世界経済の不安定さを踏まえると、成長を持続させるには引き続き厳しい舵取りが求められる見込みだ。














