香港が直面している深刻な住宅危機に対し、政府と民間がタッグを組み、かつての新型コロナ隔離施設を若者向けのホステルとして再活用する取り組みが始まった。南九龍・啓徳(カイタック)地区に広がるその敷地は、パンデミック時代に建設された巨大な検疫施設だったが、今後は若者たちの生活拠点へと生まれ変わる。
このプロジェクトは「Runway 1331」と名付けられ、2025年7月13日から試験運営を開始。1泊200香港ドル(約3,800円)から利用でき、最終的には約3,000室の個室を提供する予定だ。これは香港政府の「ユース・ホステル計画」の一環で、若者が将来の住宅取得や賃貸に向けて資金を蓄えるためのステップとなるよう設計されている。
香港の住宅価格は世界でも最高水準で、平均的な公営住宅の待機期間は5年に達する。多くの低所得層が選ぶ「スラム住宅」や「棺桶部屋」と呼ばれる過密な分割賃貸物件の存在が、住宅難の深刻さを物語る。
Runway 1331は、もともと香港国際空港の跡地に建てられた検疫施設で、パンデミック終息後に未使用のまま放置されていた。今回の再活用では、40歳以下の若者を対象にし、文化交流や創作活動も視野に入れている。施設内の一部の部屋は無償で提供され、そこに住むクリエイティブな若者たちは地域住民向けのワークショップやイベントなどで地域に貢献することが期待されている。
プロジェクトを手がけるのは、実業家のウィニー・チウ・ウィングクワン氏と中国本土の国有企業の連携チーム。チウ氏は、Runway 1331を「世界最大の若者のインキュベーター」とする意欲を示しており、単なる住宅提供にとどまらず、創造性と社会貢献を育む拠点としての発展を目指している。
さらに、香港政府の民政及青年事務局は、この施設を香港と中国本土、さらには海外の若者との交流の場として活用することにも意欲的だ。
パンデミック期に建設された他の隔離施設も同様に再利用の可能性が模索されており、香港の住宅供給問題への新たな打開策として注目を集めている。Runway 1331のような取り組みが成功すれば、今後同様のプロジェクトが各地で進む可能性もある。住宅の量的供給と質の向上、そして若者支援と地域文化の振興を一体化したこの動きは、香港の都市再生モデルとして今後さらに注目されるだろう。














