世界的な資源トレーダーのヴィトル(Vitol)とグレンコア(Glencore)が、米エネルギー大手シェブロン(Chevron)のシンガポール製油所持分に対して正式入札を行う見通しであることが関係者の話で明らかになりました。対象となるのは、同国で2番目に大きい製油所の50%の持分で、施設全体の評価額はおよそ10億ドルとされています。シェブロンは現在、最終的な入札を10月に受け付ける方向で調整を進めているとのことです。
この製油所はジュロン島に位置し、日量約29万バレルの処理能力を有するシンガポールの主要製油所のひとつです。残り50%の持分は中国の国有石油大手・中国石油(PetroChina)の子会社が保有しており、優先購入権を持つため、シェブロン株の売却に参加する可能性も注目されています。ただし、中国石油からはコメントは出ていません。
ヴィトルとグレンコアはいずれもアジア太平洋地域で精製資産を持ち、シンガポールを中心とした石油取引の拡大を狙っています。シンガポールはアジア最大の石油取引拠点であり、世界有数のバンカリング港として燃料のブレンド、販売、再輸出が盛んな場所です。両社がこの拠点での存在感を強化しようとするのは自然な流れといえます。
背景にはシェブロンのコスト削減策があります。同社は2026年までに最大30億ドルのコスト削減を目指しており、アジアで保有する製油所やターミナル、燃料貯蔵施設、さらにはマレーシアでの小売事業まで売却対象に含めています。これら資産は一括でも個別でも購入可能とされ、入札企業にとっては地域戦略を強化する好機となっています。
ヴィトルはマレーシア・タンジュンビンで日量3.2万バレルの製油所を保有し、同国タンジュンペラパスにあるATB石油ターミナルの半分の権益を持っています。また、オーストラリアではビバ・エナジーを通じてジーロング製油所を運営中です。一方のグレンコアは、インドネシアのチャンドラアスリと合弁でシンガポールのアスタ―・ケミカル&エナジーに参画しており、今年4月にシェルから買収した精製・化学コンプレックスを保有しています。
今回の売却は、石油メジャーによるアジア資産再編の一環であり、シンガポールのエネルギーハブとしての地位を改めて示すものでもあります。最終的にどの企業がシェブロンの持分を取得するかは不透明ですが、アジアの石油取引環境に大きな影響を与えることは確実であり、今後の動向が注目されます。














