ベトナム教育分野で拡大するビジネス協力契約の実態

ベトナムの教育分野では、デベロッパーと学校運営者が協力して私立学校を設立・運営する際に、「ビジネス協力契約(Business Cooperation Contracts=BCC)」が活用されるケースが増えている。これは新会社を設立せずに契約ベースで収益や運営を共有できる柔軟な仕組みであり、教育の質と経済的利益を両立させる手法として注目されている。

ベトナムでは土地の私有が認められておらず、国家から「土地使用権(LUR)」を割り当て、または賃貸を受けて活用する必要がある。そのため、学校プロジェクトを進めるには、開発業者が土地使用権を確保し、建物を整備した上で、運営者と協力するのが一般的な流れとなる。BCCでは、デベロッパーが土地や校舎を提供し、運営者が教育ノウハウや教職員、日常管理を担い、収益を分配するという仕組みが多い。

2020年投資法によりBCCは正式に投資形態として位置付けられ、契約内容には参加者の情報、事業目的、資本や利益配分、権利義務、契約終了条件などが明記されることが求められている。外国投資家が関与する場合は、投資登録証明書の取得が必要となる点にも注意が必要だ。さらに、2026年には新たな投資・事業法が施行される予定であり、詳細は政府ガイダンスで定められる見込みだ。

ただし、市場ではBCCが「実質的には賃貸契約に近い」とする見方もある。特に、開発業者が国家から土地を借りている場合、その土地を第三者に再賃貸することは制限されているからだ。しかし、関係者の間では、BCCは単なる土地の貸借ではなく、教育管理契約として教育の質向上と経済的利益を両立させる実効的な枠組みと捉えられている。

具体的には、収益分配モデルとして学費収入の一定割合や生徒数に応じた支払い方式が用いられ、好調な年には市場家賃を上回る収益を開発業者にもたらす場合もある。運営者側は教育方針やカリキュラム、人事を独自に決定でき、複数校を展開する運営者にとっては教育水準の底上げにつながる。知的財産権やブランドの扱い、開発業者による土地や校舎の処分制限、契約終了時の取り扱いなども重要な交渉ポイントとなる。

また、開発業者に対しては学校の独占利用を妨げない義務や競合学校の設立禁止、権益譲渡の際のオペレーターの優先購入権などが盛り込まれることも多い。さらに、損害賠償や保証条項によって土地関連のリスクは開発業者が、日常運営に関するリスクは運営者が負担する形でバランスが取られる。

契約期間は10年から30年程度が一般的で、土地使用権の有効期限に連動する。終了後も学校運営の継続性を確保するため、更新条件や補償措置を定めることが重視されている。争いが生じた場合は、土地利用権が関与するためベトナム法および国内裁判所の管轄が基本とされる。

今後、法制度の整備や市場の成熟により、BCCはさらに教育分野での活用が広がるとみられる。教育の質を高めつつ、開発業者と運営者双方の利益を守るためには、契約交渉において専門家の助言を得て慎重に進めることが不可欠だ。

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