ベトナム、社会保険法を改正し7月1日施行

ベトナムでは、2025年7月1日から新たな社会保険法が正式に施行されました。この法改正は、制度の持続可能性と公平性を高め、特に非正規労働者や短期間の就労者を含むすべての労働者に社会保障を拡大することを目的としています。

今回の改正では、任意加入制度の柔軟性が拡大され、以前よりも多くの労働者が社会保険にアクセスしやすくなります。たとえば、最低加入期間がこれまでの20年から15年に短縮されたことで、老齢年金を受け取るためのハードルが大きく下がりました。これにより、高齢者層の生活安定にも寄与する見通しです。

また、従来の強制加入制度の対象となる労働者の定義も拡大され、季節労働者や短期契約労働者も含まれるようになります。これはインフォーマルセクターに属する人々の社会保障加入を促進するための重要な一歩であり、ベトナム国内で約3,000万人いるとされる未加入者の減少につながると期待されています。

さらに、今回の改正では、障害や疾病によって就労できない人への給付条件の見直しや、出産給付の適用範囲の拡大など、社会的弱者を支援する制度強化も盛り込まれています。

背景には、労働人口の高齢化や少子化、経済のインフォーマル化が進む中で、既存の制度では将来的に給付と財源のバランスが取れなくなるという危機感があります。国際機関や専門家からも、今回のような早期の制度見直しが評価されており、ILO(国際労働機関)やP4Hネットワークなどからも技術支援が提供されてきました。

今回の改正を通じて、政府は2030年までに社会保険加入者数を現在の約1,750万人から倍増させる目標を掲げており、今後も制度の整備とともに、広報活動やインセンティブ制度などの導入も検討されています。

この社会保険法の改正は、ベトナムが持続可能な経済成長と社会的安定を両立させるための重要なマイルストーンであり、今後の政策展開にも注目が集まります。