シンガポール、新法で交通インフラ17社を厳格監視へ

シンガポール政府は、国の戦略的インフラを守るための新たな法制度「輸送部門(重要企業)法」を施行し、国内の主要な輸送関連企業17社を「重要企業」に指定しました。この新法により、対象企業は政府の厳しい監視下に置かれ、経営陣の変更や株式の5%以上の取得といった重要な動きについては政府の事前承認が必要となります。背景には、シンガポールの航空、鉄道、港湾、海運などの基幹インフラが、外部からの悪意ある支配やサービス妨害といったリスクに晒される可能性があるとの政府の懸念があります。

対象となるのは、シンガポール航空や地上サービスを担うSATS、航空機整備のSIAエンジニアリング、鉄道・バス運営のSBSトランジットやSMRTコーポレーション、さらにはチャンギ空港グループやジュロン港、PSAマリンなど、シンガポールの交通インフラを支える中核企業たちです。これらの企業は、倒産やサービスの中断など社会機能に影響する可能性がある事態が発生した際にも速やかに当局に報告することが義務付けられます。

運輸大臣のチー・ホン・タット氏は、これらの企業が持つ専門的なインフラ管理能力や市場での代替不可能性を強調し、「悪意ある勢力による支配のリスクから守るための予防策」だと説明しています。一方で、SBSトランジットのCEOであるジェフリー・シム氏は、新たな法制度のもとでも政府と協力し、輸送サービスの安定と回復力を維持していく姿勢を示しています。

今回の法整備により、シンガポールはより強固な体制で国家インフラの保全を図ることになりますが、今後は民間企業と政府の関係性や、透明性の確保、企業のガバナンス強化なども問われていくことになるでしょう。

https://www.reuters.com/world/asia-pacific/new-law-subjects-17-singapore-transport-firms-greater-government-scrutiny-2025-04-01