シンガポール、保険向け新法人形態「PCC」の法制化に着手——アジアの巨大な保険ギャップ解消へ

シンガポール金融通貨庁(MAS)は7月7日、キャプティブ保険や保険リンク証券(ILS)に対応する新たな法人形態「プロテクテッド・セル・カンパニー(PCC)」の法制化に向けた市中協議文書を公表しました。PCCは単一の法人格の中に法的に独立した複数の「セル」を設け、各セルの資産・負債を相互に区分できる仕組みです。ガン・キムヨン副首相兼通商産業相(MAS議長)が6月25日のシンガポール銀行協会(ABS)年次晩餐会で導入方針を表明していたもので、協議は8月7日まで実施され、関連法の施行は2028年を目標としています。

制度導入の背景には、アジア地域における深刻な「保険ギャップ」があります。MASによると、2025年にアジア全域の自然災害による経済損失は約650億ドルに達したものの、その9割以上が未保険であったとされています。企業がリスクファイナンスにおいてより大きな裁量と柔軟性を求める動きが世界的に強まる中、キャプティブ保険や保険リンク証券、リスクプーリングといった代替的リスク移転手法への需要が高まっていることが、今回の制度設計の直接の動機となっています。

PCCの枠組みは、自社グループのリスクを管理する専用キャプティブや、保険仲介会社が運営する共同キャプティブ施設を活用する「レンタ・キャプティブ」方式に対応するほか、新たな特別目的事業体(SPV)を都度設立することなくセル単位でILSを発行できる仕組みも想定しています。さらに複数国の政府が共同でリスクを分散管理する「ソブリン・リスクプール」の運営基盤としても活用が見込まれています。2028年の法制化に向け、シンガポールは保険関連の資本市場活用拠点としての地位をさらに強化する方針です。

https://www.theedgesingapore.com/news/banking-finance/mas-issues-consultation-paper-new-protected-cell-company-corporate-structure

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