2025年4月14日、日本の石破茂首相とシンガポールのローレンス・ウォン首相は、25分間の電話会談を行い、米国の新たな関税措置を巡る国際経済の混乱と、それに対する両国の対応について意見を交わした。この会談は、シンガポール経済が米関税の影響で減速し、成長見通しの下方修正を迫られるという厳しい情勢の中で行われた。
トランプ前大統領の復帰に伴い、米国は全ての輸入品に一律10%の関税を課す政策を導入。さらに貿易黒字国には追加の高関税を課すという強硬策を打ち出している。これにより、自由貿易を基盤とするシンガポール経済は大きな打撃を受け、2025年第1四半期のGDPは前期比0.8%のマイナス成長に転じた。政府は年間の経済成長見通しを0〜2%へと下方修正。輸出依存の経済構造が、外的要因による脆弱性を露呈した格好だ。
この経済状況に対応するため、シンガポール金融管理庁(MAS)は為替政策を緩和し、通貨の上昇スピードを抑える措置を講じた。ローレンス・ウォン首相は、「米関税政策には交渉の余地がなく、我が国にとって深刻な経済リスク」との見解を示し、貿易秩序の乱れが企業の動向や雇用情勢に波及することへの懸念を表明している。
こうした情勢の中で行われた日・シンガポール首脳会談では、経済安全保障と自由貿易の維持に向けた協調が確認された。石破首相は、日本企業もシンガポールを含むASEAN地域で困難な状況に直面していると述べ、「東南アジアとの緊密な連携が不可欠」と強調。両首脳はまた、「自由で開かれたインド太平洋」構想の推進に向け、法の支配と地域の安定を柱とした協力を強めていくことで一致した。
今回の会談は、経済と地政学が複雑に絡み合う現代において、日・シンガポール両国が単なる貿易パートナーを超え、戦略的連携を深めていく意思を再確認する重要な機会となった。関税戦争がもたらす不確実性の中で、ルールに基づく国際秩序を守るための連携が、今後のアジア太平洋地域の鍵を握るだろう。














