U年次報告、香港の自治と自由のさらなる侵食を指摘

欧州連合(EU)は、香港の政治的および経済的状況をまとめた第27回年次報告書を発表し、2024年を対象とした現地の動向を明らかにした。報告書は、2020年に施行された国家安全維持法を契機として、香港当局が国家安全保障を最優先に据える姿勢を続けていること、そして自治や基本的自由のさらなる侵食が進んでいることを強調している。特に2024年3月には、香港立法会が基本法23条に基づく「国家安全条例」を採択し、中国本土での広範な国家安全保障の定義を香港に導入した。この条例は新たに5つの罪を追加し、既存の罪の適用範囲を拡大する内容であり、同年末までに少なくとも15人が煽動罪で逮捕され、うち3人が有罪判決を受け服役している。

報告書はまた、民主派活動家や政治家らに対する訴追が継続していることに触れたほか、国外にいる活動家6人に対して逮捕状と懸賞金が発布され、彼らの親族や知人が度々警察の取り調べを受けている実態も明らかにした。さらに、香港当局は表現規制を強化し、インターネット上の「敏感な内容」をブロックし続けている。象徴的な例として、2024年5月には控訴法院が抗議運動の象徴とされた歌「Glory to Hong Kong」の公開禁止を政府申請に基づき認めている。

一方で、経済的な結びつきは依然として強く、EUは香港における最大の非中国系外国企業コミュニティとして存在感を示している。2024年時点で少なくとも1,640社のEU企業が香港に拠点を構えており、同年のEUと香港間の貿易総額は約667億ユーロに達した。EUは香港にとって第4位のモノの貿易相手国、第3位のサービス貿易相手国となっている。

EUは1997年の香港返還以降、「一国二制度」の下での自由や自治の維持を注視してきた。2020年7月に採択されたEU理事会の結論に基づく対抗措置は現在も有効であり、亡命やビザ政策の見直し、機材輸出の制限、裁判の監視、市民社会の支援、学術交流の拡大、さらには香港との新たな交渉を控える姿勢などが含まれている。今回の報告書は、こうした施策が依然として必要であることを裏付けており、香港の法制度や自由に対する国際的な懸念は今後も続くとみられる。EUと香港の関係は経済面での密接さと政治面での緊張感が共存する状態にあり、国際社会の視線は引き続き香港に注がれることになるだろう。

https://ec.europa.eu/commission/presscorner/detail/en/ip_25_2043