バハマ・ナッソー発――金融取引における不正や資金洗浄の摘発に向け、同国の金融情報機関(FIU)が取り組みを強化している。FIUは、今年に入ってから疑わしい取引報告(STR)の件数が前年を上回るペースで増加していると発表し、その背景には国内外の金融活動の複雑化があると説明した。
FIUのエメリック・シーモア局長は、「STRが増えていることは、実際に多くの事例が発生している証拠です。我々は情報を精査し、必要な機関に提供する役割を担っています」と語った。FIU自体は監査や捜査を行わず、警察や租税当局、ゲーミング委員会といった関係機関に情報を引き渡すことが主な任務であるという。
こうした中、FIUは今週、バハマのゲーミング委員会と新たに覚書(MoU)を締結した。シーモア局長は「今回の覚書は、両機関の協力関係を一層強固にするものです。金融犯罪に対抗するために、国内外で団結を示す重要なステップです」と強調した。
ゲーミング委員会の新任事務局長であるテラ・ラーミング氏も、この協定の意義を強調し、2026年10月に予定されている金融活動作業部会(FATF)の相互審査に向けた準備の一環であると述べた。「FIUは評価に向けた準備に大きな役割を果たしています。規制当局間の緊密な協力が、バハマ全体の信用力を高めるでしょう」と語った。
FIUは財務省の管轄下にある組織であり、今回の覚書はこれまで非公式に続けてきた協力関係を正式化するものである。両機関の連携が進むことで、金融情報の共有はより迅速かつ効率的になり、資金洗浄や関連犯罪への対処能力が一段と高まることが期待されている。