シンガポール金融通貨庁(MAS)は2026年8月5日、国会に提出した書面答弁の中で、自律的に判断し行動する「エージェント型AI」が、金融機関向けのAIリスク管理指針の適用範囲に含まれることを明らかにしました。この指針は2025年11月に協議文書として公表されたもので、取締役会・経営陣による監督体制やリスク管理の枠組み、AIのライフサイクル全体にわたる管理体制を求める内容となっており、近く最終化される見通しです。答弁はセンバワンGRC選出のマリアム・ジャアファル議員の質問に対し、副首相兼貿易産業相でMAS議長を務めるガン・キムヨン氏名義で行われました。
背景には、AIの進化が急速であることを踏まえ、MASが原則ベースのアプローチを採用してきた経緯があります。業界主導の「エージェント型金融の実行時セーフガード(SAFR)」という枠組みはすでに存在していましたが、今回の答弁により、拘束力ある監督上の期待がエージェント型AIにも及ぶことが公式に確認された形です。MASはこれと並行して、業界と共同で「プロジェクト・マインドフォージ」を通じたAIリスク管理ツールキットの整備を進め、金融機関が指針を実務に落とし込めるよう支援しています。
金融機関にとっては、システム内で稼働する自律型AIエージェントについても、通常のAI活用と同様に取締役会レベルでの監督や堅実なリスク管理体制の構築が求められることになります。具体的な適用開始時期は今回の答弁では明示されませんでしたが、指針の最終化が近いとされる中、金融業界では移行対応に向けた準備が今後の焦点となりそうです。














