カリブ海のケイマン諸島では、政府支出が急速に拡大していることから、歳入増加策として各種手数料の引き上げが避けられない情勢となっている。与党ナショナル・コアリション・フォー・ケイマニアンズは、10月に予定されている初の予算案提出に向けて、移民関連の手数料や関税、さらには印紙税などを含めた見直しを検討している。
会計検査院が2月に発表した報告書「財政責任と透明性の改善:長期的な財政持続可能性」を審議した議会公会計委員会(PAC)では、歳出抑制と収入確保の必要性が議論の中心となった。財務官ケン・ジェファーソン氏は、歳入増加のペースを大きく上回る支出拡大は持続不可能であると指摘し、「新型コロナ以前のように大きな黒字を確保し、財政準備金を積み増す必要がある」と警告した。現在、政府の一般準備金はわずか1億1,900万CIドルであり、景気後退や自然災害といった不測の事態に備えるには十分ではないという。
副知事フランツ・マンダーソン氏も、人口増加とともに治安維持や消防、医療、観光関連業務など公共サービス需要が膨らみ、公務員数を減らすことは不可能であると説明した。その上で「多くの手数料は長年据え置かれており、現在の水準は持続できない」とし、テクノロジーやAIの活用で効率化を進めつつも、人員確保と歳入増加の両面から対応する必要があると強調した。
具体的な対象としては、就労許可などの移民関連手数料や帰化申請手数料の改定が挙げられている。英国ではケイマン諸島の倍額を徴収していることから、同水準へ近づける方針が検討されている。また、印紙税については特に外国人購入者に対する税率引き上げが有力視され、最大15%まで引き上げる案も過去に提示された。逆に地元住民に対しては軽減措置を導入する可能性も議論されている。
政府はすでに来年度から金融サービス部門への新たな課税措置を導入する計画を進めているが、それだけでは十分ではないと見られており、今後の予算審議で幅広い歳入策が俎上に載る見通しだ。長年据え置かれてきた手数料や税率の見直しは、国民生活への直接的な影響を最小限に抑えつつ、持続可能な財政基盤を築けるかどうかが焦点となる。














