香港の李家超(ジョン・リー)行政長官は、2025年9月に予定されている第4回施政報告に向けて、市民の生活向上を重視した新たな方針を打ち出しました。6月16日には公聴会の開始を宣言し、政府主導で40回以上にわたり各区を訪問し、住民や多様な業界関係者から幅広く意見を集める姿勢を強調しています。李長官は、香港が現在「経済の再構築」の真っただ中にあることを明言し、経済発展と市民生活の質向上を同時に追求できると自信を見せました。
具体的には、新しい成長分野を模索し、香港が従来強みとしてきた貿易や国際交流の分野をさらに拡大させること、北京中央政府の支援と「一国二制度」の制度的優位を活用しながらグローバルな競争力を高めていく方針を打ち出しています。また、行政の現場主義を重視し、区ごとの現地訪問を通じて直接住民の声を聞き、政策に反映させていく考えを繰り返しアピールしました。
背景には、近年の観光や小売業の低迷、人口流出、国際サプライチェーンの変化といった複合的な経済課題があります。香港政府はこれらの課題を克服するため、経済構造の転換を急ぐ必要に迫られています。李家超長官が経済再構築を掲げるのは、観光業や地元産業の回復だけでなく、AIや金融、ロボティクスなど新たな成長分野へのシフトを見据えたものです。2024年の施政報告でも、金市場や海運、スタートアップ促進策のほか、新興産業への支援強化を進めてきましたが、今回の公聴会シリーズは、そうした方針をさらに具体化し、実効性を持たせるための取り組みと位置付けられています。
今後は、市民の声を十分に吸い上げた上で、秋に発表される施政報告に具体的な政策として反映させていくことが期待されています。「一国二制度」のもとで香港が持つ独自の優位性と、中国本土からの支援をどこまで活かし、市民生活や地域経済の現場でその効果を実感できるかが問われます。香港の新しい経済成長戦略と市民の生活改善が、どのように結実していくのか。今後の施策の進展と、国際都市・香港の再生に向けた歩みに注目が集まります。














