ベトナム、民間企業を経済成長の“主役”に政策転換

2025年5月、ベトナム政府は民間セクターを経済の最も重要な推進力として位置づける政策転換を打ち出しました。これまでは国営企業中心の体制が続いていましたが、今後はスタートアップや中小企業を含む民間企業の成長を主導する体制へと本格的に移行します。共産党中央政治局による「民間経済発展に関する決議」が発表されたのに続き、国会でも行政改革やサプライチェーン強化、技術革新の支援を盛り込んだ法案が可決されました。政府は、2030年までに国内企業数を200万社、2045年には300万社へと増やすという大胆な目標を掲げています。

こうした政策転換の特徴は、企業の事務負担や監査、検査の簡素化が進む点にあります。特に、従来は事前審査や多重チェックが厳しかったものが、今後は原則年1回以下の検査とし、違反企業以外は免除されるケースも増えます。違反があった場合も、過去の法規を遡及して適用することは原則避け、刑事罰ではなく民事・行政処分を優先することで、企業側の権利を守る仕組みが強化されました。また、スタートアップやイノベーション分野の企業には、法人税や所得税の優遇策が大きく拡充されており、例えば新興企業は設立後2年間の法人税全額免除や、その後4年間の半額減税が適用されるようになります。さらに、サプライチェーン強化のために大企業が中小企業向け研修にかけた費用も税控除の対象となるほか、会計やデジタル管理ソフトの無償提供など、中小企業の成長支援も広がります。

また、研究開発投資を促進するため、法人税計算時に最大20%までを研究開発準備金として積み立てできたり、実際のR&D費用の200%までを控除できる新しい仕組みも導入されます。こうした取り組みは、デジタル技術や高度な知識産業の発展を後押しするものです。そして2026年からは、長年企業活動の負担となっていた免許税が廃止され、創業や事業運営の初期コストが一段と引き下げられることになります。

背景には、ベトナムがこれまで国営中心で発展してきたものの、今後は国際競争力を強化し、より柔軟で革新的な経済構造へ転換していく必要があるという危機感があります。行政改革と法規制の見直しを進めることで、起業環境の改善と海外投資の呼び込みにもつなげていく狙いです。今後は、国や自治体ごとに新制度の具体的な運用方針が策定され、実際の施行とともに効果検証も始まる予定です。

こうした流れは、企業にとっては新たな成長機会の広がりとなり、外国企業にとってもより安心して投資や事業展開ができる環境が整うことを意味します。国家全体としては、税制優遇やデジタル支援、研究開発投資の拡大を通じて、長期的な国際競争力の向上と経済基盤の強化を目指す方針です。ベトナムは今後20年をかけ、民間主導かつ技術革新型経済への転換を加速させていくことになるでしょう。その進化は、アジアの新たな成長エンジンとしての存在感をさらに高めることが期待されています。

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