キプロスで投資ファンド業界に大きな影響を与える新たな規制が施行されました。2025年6月18日に発効した「投資ファンド管理者法(IFA法)」は、ファンド管理サービスを提供する事業者を初めて包括的に規制対象とするもので、今後の市場運営に重要な意味を持つとされています。
この法律の対象となるのは、投資ファンドやその運用会社から業務を委託され、キプロス内外でファンド管理サービスを提供するすべての事業者です。ただし、UCITS運用会社やキプロスに設立されたオルタナティブ投資ファンド運用会社(AIFM)は免除されます。また、純粋に評価サービスのみを行う専門家も、他の管理サービスを提供しない限り規制の適用を受けません。
IFAとして活動するためには、キプロス証券取引委員会(CySEC)からライセンスを取得する必要があり、無許可で「ファンド管理者」などの名称を用いることは禁じられています。申請プロセスは既存のAIFMや投資会社(CIF)の規制に近い仕組みで設計されており、CySECは完全な申請を受理してから6か月以内に審査結果を通知する義務があります。すでに対象業務を行っていた事業者は、施行日から2か月以内、すなわち2025年8月18日までにライセンスを申請する必要があり、2027年6月18日以降、ライセンスを持たない者は速やかに業務を停止しなければなりません。
IFAには厳格な要件が課されます。例えば、本社をキプロス国内に設置し、常住する2名以上の自然人が取締役会の執行取締役を務める必要があります。また、経済的実体、ガバナンス、内部統制などに関する基準が明確化され、取締役や株主には適格性審査が行われます。最低資本金は5万ユーロから12万5千ユーロの範囲で設定され、さらに専門職賠償責任保険への加入が義務付けられます。リスク管理やコンプライアンス、利益相反管理、事業継続計画、外部委託、記録保存、報告義務など、多岐にわたる規制が詳細に定められています。
監督権限を持つCySECは、情報収集や調査、立入検査を実施できるほか、最大35万ユーロ(再犯の場合は70万ユーロ)の罰金やライセンス停止・取消しなどの行政処分を科すことが可能です。さらに、無許可での業務提供や特定の規定違反は刑事罰の対象となり、最長5年の禁錮刑や最大70万ユーロの罰金、あるいはその両方が科される可能性があります。
今回のIFA法の施行により、キプロスのファンド管理業界はより透明で健全な環境に移行することが期待されます。今後は事業者がどのように規制に適応し、国際的な投資ファンド市場における競争力を高めていくかが注目されるでしょう。














