ケイマン諸島、仮想通貨ライセンス制へ移行。規制強化で信頼性向上へ

世界屈指のオフショア金融センターであるケイマン諸島において、デジタル資産ビジネスのルールが一段と厳格化されました。2025年4月1日より、仮想資産サービスプロバイダー(VASP)に対する規制枠組みの「フェーズ2」が施行され、従来の登録制から、より法的な拘束力の強い「ライセンス制」へと完全移行しました。この変更は、特に資産の保管(カストディ)や取引所を運営する業者にとって、事業継続の前提条件を大きく変えるものとなります。

今回の規制強化の核心は、ガバナンスと顧客保護の徹底にあります。新ルールでは、すべてのVASPに対し、少なくとも3名の取締役の選任が義務付けられ、そのうち1名は利害関係のない「独立取締役」でなければなりません。また、顧客資産と自社資産の厳格な分別管理はもちろん、企業の規模や事業内容に応じて、独立した外部監査人による監査済財務諸表の提出が求められるようになります。これにより、かつての「自由なオフショア」のイメージから脱却し、国際的なマネーロンダリング防止(AML)基準に完全に準拠した透明性の高い金融ハブとしての地位を強固にする狙いがあります。

この法改正は、ケイマン諸島を拠点とする既存の業者だけでなく、これから進出を検討しているスタートアップにとっても大きな転換点です。既存の登録業者は施行後90日以内にライセンス申請を行う必要がありますが、審査にはビジネスプランの精査やサイバーセキュリティ対策の評価が含まれており、参入障壁は以前よりも確実に高まっています。しかし、これは裏を返せば、ケイマン諸島でライセンスを維持していることが、投資家やクライアントにとって「高い信頼性の証」になることを意味します。今後、世界のオフショア地域において同様の規制強化が波及していく中、ケイマン諸島の動向はデジタル資産市場の健全な発展に向けた先行指標となるでしょう。

https://www.cima.ky/amendments-to-the-virtual-asset-service-providers-act-effective-1-april-2025