カイマン諸島のアンドレ・エバンクス首相は、水曜日に「国家連立政権(NCFC)」による戦略的政策声明(Strategic Policy Statement=SPS)を発表し、今後3年半にわたる政府の政策方針を初めて公表する予定だ。
このNCFCは、TCCP(The Caymanian Conservative Party)所属の4名、CINP(Cayman Islands National Party)の4名、そして3名の無所属議員によって約6か月前に発足した新しい政権連合である。
今回のSPSは、異なる公約を掲げて当選した各派が、どのようにして一貫した政策を進めていくかを示す重要な文書とされる。エバンクス首相は既に複数のメディアで「大きなサプライズはない」としつつも、移民政策、教育、生活費の高騰、医療制度など、国民の関心が高い主要分野を包括的に扱う方針を示している。
ただし、具体的な予算配分については、財務相ロルストン・アングリンが11月初旬に発表予定の予算声明で明らかにされる見通しだ。政府は今後2年間で25億カイマン・ドルの歳入を見込んでおり、その使途が焦点となる。
エバンクス首相は先週、Compass TVのインタビューで「私たちの政権は、各課題に対して専門的かつ統一的で、規律ある姿勢で取り組む」と述べた。一方で、3つの政党が関わる連立政権の内部では、政策の方向性をめぐる意見の違いも指摘されている。
最近では、青イグアナの生息地に対する保護命令の一部解除が、TCCPの掲げる環境重視の政策と矛盾するとの批判も出ている。また、長年議論されてきた移民制度改革をどの程度まで進めるかについても、政権内で温度差があると報じられている。
CINP所属で移民・雇用担当相のマイケル・マイルズ氏は、抜本的な制度改革を支持しており、年内にも法改正案を議会に提出する意向を示していた。しかし、現在は観光業界団体や商工会議所などと意見交換を行っており、最終的な法案の提出は年明け以降になる見通しだ。
それでもエバンクス首相は、「現時点で対立や混乱は見られない」と強調し、「慎重で専門的、かつ思慮深い」協議プロセスの一例だと述べた。
SPSでは、政府としての移民改革の方向性を示すものの、詳細な実施策については後日公表されるとみられている。
首相はまた、SPS発表後に、連立を構成する3派閥間で交わされた公式合意文書も公開する予定であると明らかにしている。
この発表は、エバンクス政権が国民に対し「一枚岩の政権運営」をアピールする重要な機会となりそうだ。