カナダ・シンガポール・英国が気候変動への適応力で世界上位 BNEF新指標で明らかに

ロンドン発、2025年10月13日――ブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンス(BNEF)が発表した最新の分析によると、カナダ、シンガポール、韓国は「気候変動への適応準備力」において最も高い評価を受けた国々となった。一方で、サウジアラビアやロシアは最も低い水準にとどまっている。

世界ではすでに気候変動による被害が深刻化しており、人間の健康や経済成長、地域の安全保障に影響を及ぼしている。ブルームバーグ・インテリジェンスによれば、気候関連損失は昨年だけで1兆4,000億ドルに達し、2000年の約10倍に膨れ上がった。パリ協定が掲げる1.5度目標の達成が難しい中、各国が「適応」に取り組まなければ、今後の損失はさらに拡大する恐れがある。

BNEFが開発した「適応戦略フレームワーク」と「適応準備スコアカード」は、G20諸国および東南アジアの一部市場を対象に、各国の気候変動への備えを数値化・比較したものだ。これにより、投資家は将来の気候リスクに対する各国経済の強靭性を把握でき、リスク評価の一環としてより精緻な判断が可能になる。

BNEFの気候適応部門リードアナリスト、ダニヤ・リウ氏は次のように述べている。

「投資家は、気候変動への適応を単なるリスク回避ではなく、新たな投資機会としても注目しています。適応が進んでいる市場では、気候災害による損失を低く抑えられる可能性が高いのです。」

報告書によると、高評価を得たカナダ、シンガポール、韓国は、国家レベルで経済的レジリエンス(回復力)を高めるための取り組みを積極的に進めており、次のような効果が期待されるという。

気候損失の軽減、農業や資源産業など気候依存度の高い分野での競争力強化、外国投資家からのリスク評価の低下、そして適応関連ビジネス市場の拡大だ。

一方で、サウジアラビアやロシア、タイなどは、国家レベルでの適応策が遅れているか、十分に公表されていないと指摘された。特にサウジアラビアは気候リスクの直接的影響が比較的少ないことから、対応の動機づけが弱い可能性があるという。

また、経済損失額では米国が最大であり、同国は洪水防壁などの「工学的防御」を最も多く構築しているものの、連邦政府による適応政策は他の先進国に比べて後れを取っているとBNEFは指摘する。今後、既存プログラムの縮小や撤回が進めば、気候災害の影響はより不確実でリスクが高まるおそれがある。

BNEFの戦略責任者コバド・バブナグリ氏はこう警鐘を鳴らす。

「気候変動の物理的影響はすでに企業、金融機関、地域社会に及んでいます。各国が経済的な強靭性を守るために十分な対策を講じていない現状は、投資家にとって大きな懸念材料となるでしょう。」

この「適応準備スコアカード」は、気候変動へのレジリエンス構築を測定する新たな基準として、投資家に国別比較のためのデータを提供する。適応に成功する国は、長期的には気候リスクの低減と安定的な投資環境の確立という二重の恩恵を得られるとBNEFは結論づけている。

https://about.bnef.com/insights/nature-and-agriculture/climate_adaptation_scorecard