キプロス税務当局(CTD)は6月15日付の発表で、グローバル・ミニマム課税制度「Pillar II」(EU指令2022/2523、国内法151(I)/2024)に関する新たな申告様式と提出ガイドを公表し、同制度を法文上の存在から実際に機能するコンプライアンス体制へと移行させました。対象となる多国籍企業グループおよび大規模国内グループにとっては、所得合算ルール(IIR)がEUレベルで適格と確認されたこと、電子申告プラットフォーム「Tax for All」を通じた提出が可能になったこと、そして初年度の申告期限が迫っていることの3点が実務上の焦点となっています。
欧州委員会は5月29日付のFAQで、キプロスが2023年12月31日以降に開始する事業年度についてPillar II指令第3条18項に基づく適格なIIRを運用していることを確認しました。キプロスはOECD/G20包摂的枠組みの非加盟国であるためOECDの中央記録やGIR中央提出支援リストには掲載されておらず、この確認によって2024年度分の取り扱いをめぐる不透明感が解消されました。あわせてCTDは、本来の期限である6月30日を過ぎても、9月30日までに申告と納付を完了すれば延滞税・利息・罰則を課さない3か月の猶予措置を発表し、初年度特有の対応負担を緩和しています。
5月31日以降、キプロスはトップアップ課税情報申告書(TTIR)の受領および他国との情報交換に対応する技術的能力を備え、他のEU加盟国での重複申告を回避できる中央申告の枠組みも整いました。対象事業体は様式T.D.331からT.D.336までの提出要否を洗い出し、中央申告を選択するかどうか、責任主体をどこに置くかを見極める必要があります。本来の申告期限自体は変わらないものの、CTDが示した9月30日までの猶予は、初年度のコンプライアンス対応を進める企業にとって実務上の重要な拠り所となりそうです。














