ベトナム政府は、2025年の国内総生産(GDP)が前年比8.0%成長したと発表した。米国による新たな関税措置が発動されたにもかかわらず、サービス業、建設、輸出の力強い伸びが経済成長を支えた形だ。統計総局(GSO)によると、2025年のGDP成長率は推計で8.02%に達し、2022年以来の高水準となった。ベトナムは長年、アジア経済の成功例とされてきたが、今回の数字はその評価を裏付ける結果となっている。
特に注目されるのは、最大の輸出先である米国向け輸出が大きく増加した点だ。米国は衣料品や靴など幅広い品目に新たな関税を課したが、それにもかかわらず、米国向け輸出額は2024年の1,196億ドルから2025年には1,532億ドルへと28%増加した。世界有数の製造拠点であるベトナム全体の輸出額も前年比17%増の4,750億ドルに拡大し、輸入も19%増の4,550億ドルに達した。輸入相手国では中国が最大となっている。
2025年4月、ドナルド・トランプ米大統領がいわゆる「解放の日」関税を発表した際、ベトナムは中国、メキシコに次いで米国との貿易黒字が大きい国となり、高い関税率の対象となった。しかしその後、ベトナム政府は交渉を進め、7月には米国市場の開放、特に自動車分野などでの譲歩と引き換えに、40%超とされていた関税率を最低20%まで引き下げることで合意した。
こうした外部環境の不透明さの中でも、ベトナム経済は底堅さを示した。民間消費の拡大、企業投資の増加、政府支出の下支えが成長を支えたと、現地投資会社メコン・キャピタルのチャド・オベル氏は指摘する。同氏は、2025年の成長はベトナム経済の強固な基礎体力と、民間部門を重視する政府方針を反映したものだと評価している。
分野別では、工業・建設部門が前年比約9%成長し、サービス部門も8.6%の伸びを記録した。2025年第4四半期の経済成長率は前年同期比8.46%となり、2011年から2025年の期間で第4四半期としては最も高い水準に達した。ベトナム経済は2023年に5%強、2024年に7%超の成長を遂げており、段階的に成長率を高めてきた。
ベトナム政府は2026年に少なくとも10%の経済成長を目標に掲げており、2030年までに中所得国の地位を確立することを目指している。米国の通商政策という不確実性を抱えつつも、内需と投資を軸に成長を続けられるかが、今後の大きな焦点となりそうだ。














