シンガポール金融庁(MAS)、金融政策を据え置き 経済は予想以上の強さ

シンガポール金融庁(Monetary Authority of Singapore=MAS)は10月14日、為替レートを基軸とする金融政策を据え置くと発表した。市場ではすでに大方が予想していた通りの結果となった。MASは今年これまでに2度の緩和措置を実施しており、声明では「シンガポール経済は想定以上に堅調に推移している」と説明している。

発表によると、シンガポールドル名目実効為替レート(S$NEER)政策バンドの「傾き(スロープ)」を維持し、中心水準や幅にも変更は加えない。これは、MASが金利ではなく為替レートを通じて物価と経済をコントロールするという独自の政策枠組みに基づいた決定である。

ロイター通信の調査では、アナリスト14人のうち10人が今回の据え置きを予想していた。7月の政策決定でも据え置きが続いており、第2四半期の経済成長が予想を上回ったことが背景にある。MASは声明の中で「2025年のシンガポール経済は引き続きプラスの需給ギャップを維持し、来年にはおおむねゼロ付近に収束する見通し」と述べた。

また、コアインフレ率については「近い将来に底を打ち、2026年にかけて緩やかに上昇する」との見通しを示した。これにより、インフレ圧力の再燃に備えつつ、過度な引き締めを避けるバランスを取る構えがうかがえる。

MASは声明の中で「中期的な物価安定へのリスクに対して適切に対応する立場にあり、外部環境の不確実性を注視し続ける」と述べ、今後の動向に柔軟に対応する姿勢を強調した。

他国の中央銀行が主に政策金利を操作して金融政策を運営するのに対し、MASはシンガポールドルを主要貿易相手国の通貨バスケットに対して上昇または下落させることで経済を調整している。そのため、政策変更は為替バンドの傾きや中心点、幅の変更を通じて行われる。今回の決定は、通貨と経済の安定を優先し、外的リスクに備える「慎重な安定重視」の姿勢を明確にしたものといえる。

https://www.channelnewsasia.com/business/monetary-authority-singapore-keeps-monetary-policy-unchanged-5398531