中国のリサイクル・新素材大手、GEM(ジーイーエム、深セン証券取引所コード002340)は、香港証券取引所への上場申請を行い、A株とH株のデュアル上場を目指している。同社はこれまで長年にわたり、リチウム、ニッケル、コバルトといった新エネルギー産業に欠かせない重要金属のリサイクルや、使用済みリチウムイオン電池の回収・再資源化に取り組み、独自の「循環経済モデル」を構築してきた。
近年、中国政府の「カーボンピーク・カーボンニュートラル(双炭)」戦略の下で新エネルギー産業は急速に拡大しているが、一次資源の採掘には環境負荷やコスト、地政学リスクが伴い、資源確保は年々難しくなっている。一方で、寿命を迎える車載用電池が急増しており、そのリサイクルと再資源化は産業チェーンの新たな成長ドライバーとなりつつある。
GEMの強みは、「資源回収―材料再生―製品応用」という一連の循環システムを自社内で完結できる点にある。廃電池や廃車、電子廃棄物をグローバルに収集・解体し、そこから得られる金属を高純度の中間製品や新エネルギー用材料へと再生する。特に湿式冶金技術を駆使した処理で、従来の方法では困難だった鉱石からもニッケルやコバルトを高効率で回収でき、リチウムの回収率は96.5%と業界平均を大きく上回る。再生された資源は、三元系前駆体や正極材料、四酸化三コバルトなどへと加工され、世界中の電池メーカーや自動車メーカーに供給されている。
同社はすでに中国国内でリサイクル量・シェアともに首位を獲得しており、世界市場でも高ニッケル三元系前駆体で最大のシェアを誇る。さらに今後はインドネシア拠点の拡張や、日本・韓国・インドネシアでのマーケティング拠点設置など、グローバル展開を一層加速させる計画だ。
需要面では、EVや電子機器、ドローンやロボット分野の拡大により、リチウムイオン電池や高ニッケル系材料の市場は年20%以上の成長が見込まれている。2030年には新規電池に必要なリチウム・ニッケル・コバルトの約15%がリサイクル由来となると予測されており、GEMの事業モデルは世界的な「都市鉱山」の中核を担う存在として注目を集めている。
香港上場は、同社にとって国際資本市場へのアクセスを広げる大きな一歩だ。確立した技術力と循環型のビジネスモデル、拡大するグローバルネットワークを背景に、GEMは新エネルギー循環経済の分野でさらなる成長余地を切り開くことになるだろう。














