香港・李家超長官が経済改革を加速、北部都會区開発と人民元決済に言及

香港の李家超(ジョン・リー)行政長官は、2025年度の施政方針演説で大規模な経済改革を打ち出し、インフラ開発の加速と新産業の育成を柱に据えた包括的な政策ビジョンを提示しました。今回の演説は彼の任期終了まで残り2年となる中で発表されたもので、香港の競争力強化と市民の生活改善を両立させることを狙っています。

演説の中心となったのは、深圳と隣接する「北部都會区(Northern Metropolis)」の開発加速です。30,000ヘクタールに及ぶ広大な土地を経済成長と住宅供給の拠点とする計画で、李長官自らが開発委員会を率い、行政手続きの簡素化や法整備を進めると表明しました。また、専用の立法により産業パーク企業の設立や資金調達、越境する人材・資本・データの流れを効率的に管理できる仕組みを整える考えです。

金融分野では、香港を国際金融センターとしてさらに強化するため、中国本土のテクノロジー企業による資金調達支援や海外企業のセカンダリ上場促進、さらには中国本土の銀行に地域本部の設置を促す施策を掲げました。さらに、金取引の国際的な清算拠点としての機能を高めるため中央清算システムの導入を進め、条件次第で政府支出の人民元決済を検討するとも初めて言及しました。

教育面では、北部都會区に「大学城」を建設し、香港を国際教育拠点とする構想を推進します。非地元の大学学部生受け入れ枠を増やすほか、小中学校レベルでも海外生徒の受け入れを拡大する方針です。

市民生活の改善にも焦点を当て、公営住宅入居者に対する分譲住宅購入の優遇枠拡大や、民間賃貸市場からの住宅購入機会の提供、大型の分譲住宅建設など「持ち家への階段」を強化すると発表しました。また、介護や高リスク家庭への支援策として毎年5億香港ドルを投じ、事故検知システムの導入や家庭データベース構築を行います。

さらに、先月発覚した水調達契約をめぐる不祥事を受け、行政の透明性と責任を高める「局長級問責制度」を導入。業務不正や不祥事を起こした幹部職員には警告から降格、給与削減、強制退職まで厳格な処分を科す仕組みを導入すると強調しました。

こうした一連の施策について、中国国務院港澳事務弁公室は「李長官とそのチームが責任を担う姿勢を示すもの」と評価。香港内部からも「経済の変革に向けた包括的な青写真」との声が上がっています。ただ一方で、飲食業の苦境や労働市場の保護策にはさらなる手当が必要との指摘もあり、改革の実効性が問われる局面に差し掛かっています。

李長官は演説の締めくくりで「私たちは自らの力を過小評価すべきではない。次の香港を築くのは市民一人ひとりの力だ」と呼びかけ、経済再生と社会安定に向けた決意を強調しました。

https://www.scmp.com/news/hong-kong/hong-kong-economy/article/3325914/policy-address-2025-hong-kongs-john-lee-big-push-economic-reforms