長年続いてきたメディア帝国の後継者争いに終止符が打たれた。94歳のルパート・マードック氏が築き上げた保守系メディアグループは、長男ラクリン・マードック氏が引き継ぐことで合意に至ったと、同家が月曜日に発表した。この合意により、フォックス・ニュースやウォール・ストリート・ジャーナル、ニューヨーク・ポストといった同グループの媒体は、今後も保守色を維持することが確実となった。
今回の取り決めでは、ラクリン氏が新たに設立される信託を掌握する一方で、姉のプルー・マクラウド氏、妹のエリザベス・マードック氏、弟のジェームズ・マードック氏は、フォックスやニューズ・コープ株式を保有する信託の受益者から外れることになる。これにより、兄弟3人はメディアグループの経営方針に影響を及ぼす立場を失い、保有株の売却を進める見込みだ。売却対象はニューズ・コープ株式約1,420万株、フォックス株式約1,690万株に及び、売却益は新設される信託を通じて3人に現金として渡される。これにより兄弟は一定の財産を確保しつつも、編集方針への関与は排除される形となった。
一方でジェームズ氏は近年、グループの論調と距離を置き、編集方針への不満を公言してきた。対照的にラクリン氏は父ルパート氏に最も近く、保守的なスタンスを鮮明にしており、現在はニューズ・コープの会長を務めている。同社は「会長ラクリン・マードックのリーダーシップとビジョンが今後の戦略と成功の鍵を握る」と声明を出している。
マードック家の後継者争いは、人気ドラマ『サクセッション』の題材ともなったことで世間の注目を集めていた。実際の争いはネバダ州での法廷を舞台に水面下で進められていたが、昨年12月にはルパート氏とラクリン氏が信託の条項を改変しようとした試みが「不誠実」として裁判所に退けられる場面もあった。しかし今回の合意によってすべての訴訟は終結し、「相互的な解決」に至ったと両社は説明している。
この合意により、マードック家の長年の内紛はついに決着を見た。ラクリン氏が主導するメディアグループは、米国内外における保守系メディアの影響力を今後も維持し続けるとみられ、政治や世論形成に与えるインパクトは依然として大きい。今後はルパート氏亡き後の世代交代が、どのようにメディア業界全体に波及していくのかが注目される。














