米国ロサンゼルスを拠点に、世界的な広告・コミュニケーションエージェンシーVMLでビジネス開発ディレクターを務めるアリアナ・ヤロウリデス氏は、自身のルーツであるキプロスの価値観がリーダーシップに大きな影響を与えていると語る。ニコシア、ロンドン、パリ、ニューヨーク、そして現在のLAと、数々の都市でキャリアを積んできた彼女にとって、小さな島国で育った経験は、強い絆、レジリエンス、そして「共に支え合う」という意識を育んできた。それが、日々の仕事の中で共感力や透明性を持ってチームを率いるスタイルにつながっているという。
VMLは、Wunderman ThompsonとVMLY&Rが統合して誕生したグローバルクリエイティブカンパニーで、ブランド体験、顧客体験、コマースを結び付けた統合的なサービスを展開している。ヤロウリデス氏は北米を中心に新規ビジネスや既存顧客の成長を担い、日々異なる案件に挑む。コカ・コーラのキャンペーン構想から、消費財メーカーの新市場進出戦略、通信会社向けのAI活用型生産モデルの設計まで、その業務は幅広く、スピード感と多様性にあふれている。
国際的なキャリアを築くことの魅力について、彼女は「各都市で新たなコミュニティを築き、文化の違いから学ぶことができた」と語る。一方で、母国語や慣れ親しんだ社会的文脈から離れていることは挑戦でもあり、「自分を証明し続ける必要がある」とも明かす。しかしその過程で出会った人々や経験が、彼女を大きく成長させてきた。
リーダーシップについては、「本当のリーダーシップとは人を集め、信頼を築き、チームが最大限の力を発揮できる環境を整えること」と強調する。哲学と政治学を学んだ背景から、システム全体を見渡す視点と、人間的な関わりを重視する姿勢を併せ持ち、リーダーとは「管理する存在ではなく、集団的な知性を引き出す存在」だと捉えている。
また、広告業界を大きく変革しつつあるAIについては「人間の想像力を補強する存在であり、置き換えるものではない」との立場を示す。戦略から制作までを加速させながらも、共感や文化的直感といった人間ならではの要素を失わないことが重要だと強調した。
忙しい日々の中でも、読書やヨガ、友人との時間を通じて心のバランスを取り戻すことを大切にしているという。特に印象深い出来事として、2019年にパリでAXAのグローバルアカウント獲得を支援した経験を挙げた。数年後、そのAXAがカンヌライオンズで初の「クリエイティブ・ブランド・オブ・ザ・イヤー」に輝いた時、長期的な信頼関係が文化を動かす成果につながることを強く実感したと振り返る。
最後に、彼女が仕事で最も大切にしている価値観は「尊重」だという。人の強みに目を向け、まずは信頼を寄せる。そのシンプルだが力強い姿勢こそが、チームやクライアント、そして自身を成長させる原動力になっていると語った。ヤロウリデス氏のキャリアは、国境を越えた挑戦と、人を尊重するリーダーシップがいかに大きな成果をもたらすかを体現している。














