ベトナム、民間企業強化へ歴史的決議

ベトナムにおける民間経済の役割を大きく転換させる画期的な動きとして、政治局が採択した「第68号決議(Resolution 68-NQ/TW)」が注目を集めている。英国マンチェスター大学のダン・ヴィエト・アン教授は、同決議が掲げる具体的な目標と施策を高く評価し、「ベトナムにおける民間企業の位置づけを根本的に変える重要な文書だ」と強調した。教授は、2025年から2045年にかけて少なくとも300万の民間企業が設立され、そのうちの寄与が国内総生産(GDP)の約60%に達すると見込まれている点に注目した。これは現状の50%から大幅に引き上げる野心的な目標である。

この決議は、企業登記や合併・買収、解散などの手続きにかかる時間とコストを削減し、透明で公平なビジネス環境を整備するための制度改革を明示している。これにより、民間企業が持つ成長ポテンシャルを引き出しやすい環境が整うことが期待されている。また、資金調達の難しさ、人材不足、研究開発(R&D)への投資不足といった課題に対しても、銀行融資や投資資金へのアクセス改善、大学と企業の連携による人材育成、先端技術の導入支援など、具体的な支援策が盛り込まれている。

さらに教授は、イノベーション分野への投資の重要性を強調し、電子機器、電気設備、繊維、農業といった既存の競争力分野に加え、人工知能(AI)、ブロックチェーン、デジタル資産、情報技術などの新興分野での強化が必要だと指摘した。特に国際的な大企業との連携、例えばサムスンのようなグローバル企業との協業は、輸出力強化と企業規模の拡大に寄与すると見込まれている。

現在ベトナムの民間部門は100万の企業と500万の個人事業を有し、GDPの約半分、投資の6割、国家予算収入の3割を支えると同時に、約4,000万人の雇用を創出している。これは国内の総雇用の8割に相当し、地域格差や都市・農村間の不平等是正、さらには女性の雇用促進といった社会的課題の解決にも大きく貢献している。

国際的な視点から見ると、発展途上国では民間部門がGDPの70〜80%、雇用の90%を担い、革新やR&D投資の最大9割を占めることもある。米国のアップル、韓国のサムスン、中国のBYDといった企業は、その革新的な取り組みで国家経済を牽引してきた。アン教授は、ベトナムの民間企業も同様にイノベーションとグリーン技術の導入を進めることで、持続可能な発展において主導的な役割を果たすべきだと結論づけている。

今回の決議は、ベトナムの成長戦略において民間部門を「補完的存在」から「中心的存在」へと押し上げるものであり、同国経済の将来像を左右する転換点となることは間違いない。制度改革とともに企業の自律的な成長努力が組み合わされることで、ベトナムは新興国の中でも一層競争力を高め、世界経済における存在感を強めていくことが期待される。

https://vietnamlawmagazine.vn/vietnams-landmark-resolution-shifts-mindset-towards-private-firms-scholar-75040.html