ベトナム経済、2026〜2027年も力強い回復継続へ―OECD最新見通し

OECDが12月2日に公表した最新の世界経済見通しで、ベトナム経済は2026年と2027年にかけて堅調な成長軌道を維持するとの予測が示された。とりわけGDP成長率は2026年が6.2%、2027年が5.8%と見込まれ、世界的な貿易不確実性が続く中でもマクロ経済の安定性が維持されている点が強調されている。2025年のベトナムは力強い回復の年となり、特に第3四半期はGDPが8.2%増と高い成長を示した。個人消費の拡大、固定資本形成の堅調さ、そして輸出の回復がその原動力となった。労働市場も安定しており、失業率は2024年第3四半期以降2.2%と過去最低水準を維持し、労働参加率も上昇が続いている。

ただしOECDは、2026年にかけて世界的な需要が弱まることで輸出に向かい風が生じる可能性を指摘する。特に貿易依存度が高いベトナムにとって、主要国の政策変更や国際投資環境の変化は無視できないリスクだ。一方、国内では賃金の上昇や雇用環境の改善を背景に個人消費が引き続き堅調に推移すると見込まれている。しかし2027年に予定されるVAT(付加価値税)の引き上げは、一時的に消費の勢いを抑える可能性がある。また、国内需要の強さや価格調整の影響を受け、インフレは上昇圧力がかかると分析している。

政府の公共投資は今後の成長を下支えする重要な要素とされる。これまで滞っていた支出の加速により総需要の安定に寄与し、OECDはこれを理由に2026年の成長見通しを従来より0.2ポイント引き上げた。輸出と外国直接投資(FDI)も依然として経済の主要エンジンであり、2025年1〜9月の輸出額は前年同期比15.5%増と力強さを維持している。特に米国向け輸出は27.7%増と大きく伸びた。またFDIは2023年半ば以降着実に増加しており、資本供給だけでなく技術移転や生産性向上の面でも重要な役割を果たしている。

財政政策は短期的には拡張的なスタンスが続く見通しで、政府は公共投資を加速し2025年の成長目標8%達成を目指す。一方で中期的には、インフレ圧力が高まる中で財政の中立化が求められるとOECDは助言する。VAT減税の終了、年金や最低賃金、公共サービス料金の引き上げが物価上昇の要因となるため、金融政策も慎重な対応が必要となる。

ベトナム経済の下振れリスクとしてOECDは、2026年以降の世界貿易の減速、国際金融環境の引き締まり、大国の政策変更に伴う競争力への影響などを挙げている。ただし、金融政策の市場メカニズムの強化、非正規雇用の縮小、サービス市場の規制改革、国有企業依存の軽減などの構造改革が進めば、生産性向上と安定した成長が期待できるとしている。

こうした中でも、ベトナムは2026〜2027年にかけてアジアで最も高い成長を維持する国の一つと評価されている。HSBC、UOB、スタンダードチャータードなど主要国際機関も軒並みベトナムの成長見通しを上方修正しており、地域における存在感は一段と高まっている。世界経済が不透明さを増す中でも、ベトナムは投資と輸出、そして進行中の改革を柱として安定的な前進を続ける見通しだ。