2025年12月17日、セーシェル共和国のパトリック・エルミニー大統領が議長を務める閣議が開催され、複数の重要な法案および政策メモランダムが承認された。今回の閣議では、雇用支援、地方分権、教育制度改革、国際会議の開催、さらにはアフリカ域内での法務・金融協力強化など、社会・経済・外交の幅広い分野にわたる決定が下されている。
まず、政府は2026年1月から「失業者救済制度(Unemployment Relief Scheme:URS)」を再導入することを承認した。この制度は、就労が困難な脆弱層を対象に、一定期間の就業機会を提供しながら技能習得と雇用可能性の向上を図ることを目的としている。年間250人を上限に、原則6か月間の就業配置が行われ、状況に応じて延長も検討される。参加者はフルタイムまたはパートタイムでの就労が可能で、フルタイムの場合、月額6,388.20セーシェル・ルピーの手当が支給され、そのうち70%を政府、30%を雇用主が負担する仕組みとなる。パートタイム勤務は週24時間以内とされ、最低賃金の時給を基準に手当が算定される。障がいのある人など、フルタイム勤務が難しい人々にも配慮した設計で、手当は非課税かつ年金拠出の対象外とされた。制度運営のため、雇用促進局内に専任のURSユニットが新設され、参加者への指導、カウンセリング、恒久雇用への移行支援を担う。また、制度に法的根拠を与えるURS法案および関連規則も承認された。
地方行政に関しては、プララン島に「インナー・アイランズ担当・コミュニティ・デリバリー局」を新設することが決定された。この部署はプララン、ラ・ディーグ、シルエットなどの内島地域を管轄し、地方分権の推進、プロジェクト管理の強化、行政サービスの迅速化を通じて、島嶼部住民により近いガバナンスを実現することを目的としている。
教育分野では、政府奨学金や教育進路支援、国家的キャリアガイダンスを一元的に管理する新たな独立機関の再設立が承認された。文部・人材開発省の下に置かれるこの機関は、独立した理事会と奨学金審査委員会を持つ法定機関として設計され、透明性と説明責任の向上、サービス提供体制の強化が期待されている。
国際関係では、セーシェルが2026年6月に「第59回SADC議会フォーラム総会」を開催することが正式に承認された。この総会は、南部アフリカ開発共同体(SADC)加盟国の議会関係者が一堂に会し、民主主義、ガバナンス、地域統合を議論する最高意思決定機関であり、約200人の地域代表が参加する見込みだ。また、2026年3月には、フランコフォニー圏42か国が加盟する青少年・スポーツ分野の政府間組織CONFEJESの理事会会合をセーシェルで開催することも承認され、外交的存在感や若者政策分野での国際的評価向上が期待されている。
さらに、政府はアフリカ法務支援機関(ALSF)条約の批准を承認した。ALSFは、複雑な商業契約や債務問題においてアフリカ諸国に高度な法的助言を提供する国際機関であり、セーシェルはこれまでも実務的な支援を受けてきた。今回の批准により、国家の交渉力強化と法的能力構築が一層進むとされている。
加えて、セーシェルはアフリカ金融公社(AFC)への加盟も承認した。AFCはインフラや産業開発向けの長期資金を提供する汎アフリカ開発金融機関であり、加盟により再生可能エネルギー、交通、ブルーエコノミー、気候変動対策分野での資金調達と技術協力が拡大する見通しだ。加盟費は不要で、経済の強靭性を高め、資金調達先を多様化する国家戦略とも整合するとされている。
今回の閣議決定は、国内の雇用と社会包摂を強化すると同時に、地方行政改革、教育制度の刷新、そしてアフリカおよび国際社会との連携深化を通じて、セーシェルの持続可能な発展基盤を固める重要な一歩となった。














