EUの移民政策をめぐり、加盟国間の分断をどう埋めるか。次期EU議長国となるキプロスのニコラス・イオアニデス副移民相は、移民送還や連帯メカニズムを巡る調整を「EU全体で進めるべきだ」と強調した。Euractivのインタビューで語ったもので、加盟国間の協調と第三国との連携を両立させる姿勢を示した。
イオアニデス氏は、ルクセンブルクで行われたEU内務相会合の場で、「不法滞在者の送還は、各国が個別に動くよりも、EU全体として戦略的に連携することが重要だ」と指摘。そのうえで、「加盟国が独自の二国間協定を結ぶことも可能だが、基本はEU主導で進めるべきだ」と語った。
新たなEU移民・庇護協定(Migration Pact)は、2026年6月までの完全実施を目指しており、加盟国の間では「連帯の仕組み」をどのように運用するかを巡って意見が分かれている。特に、難民を最初に受け入れた国へ送り返す「ダブリン規則」の見直しや、移民の再配置をめぐる負担分担に関しては依然として対立が残る。
それでもイオアニデス氏は「多くの国が建設的な姿勢を示している」と楽観的だ。
「一部の加盟国には懸念もあるが、共通政策の方向性については大多数が合意している。対話を続ければ、意見の溝を埋められるはずだ」と述べた。
また、キプロスは既に自主的な帰還プログラムを進めており、今後は「特定のカテゴリー——例えば有罪判決を受けた犯罪者や治安上の脅威をもたらす人物——について、シリアへの強制送還を検討する議論も必要だ」と言及。
「シリアの情勢は完全に安定してはいないが、状況は大きく変化しており、すでに100万人近いシリア人が帰国している」と語り、限定的な帰還の可能性を示唆した。
オーストリアが既に一部送還を実施しているほか、ドイツなども同様の検討を進めており、「今後数カ月でさらなる動きがあるだろう」と見通した。
さらに、キプロス政府はシリア政府との外交ルートを通じて接触を図っており、「現地の環境改善と再定住支援の強化を通じ、より多くの自発的帰還を促したい」と述べた。EUの国境警備機関フロンテックス(Frontex)と国際機関を連携させ、再統合プログラムを拡充する構想も進めているという。
イオアニデス氏はまた、「EU内での送還決定の相互承認制度」にも言及し、「まだ議論の余地はあるが、全体として加盟国の合意は近い」と語った。
現在のデンマーク議長国のもとで交渉が進んでおり、キプロス議長国への引き継ぎ前に合意をまとめる見通しも立っているという。
最後に、来年1月に始まるキプロスのEU議長国としての優先課題について、「最優先はEU移民協定の完全実施を支援することだ。加盟国の間で橋渡し役を務め、意見の違いをできる限り調整していく」と意欲を語った。
移民・庇護問題は、EUにおける最大級の政治課題のひとつだ。加盟国の立場は依然として異なるが、キプロスが主導する対話が、2026年までの合意形成に向けた重要な一歩となる可能性がある。














