シンガポールのターマン・シャナムガラトナム大統領は、2025年11月30日から12月3日までメキシコ合衆国を公式訪問し、その主要日程の一つとして12月2日に「メキシコ・シンガポール ビジネスフォーラム」を開会した。フォーラムはシンガポール経営連盟(SBF)、メキシコ対外貿易・投資・技術企業協議会(COMCE)、そしてメキシコ企業調整協議会(CCE)が共同で主催し、メキシコのビジネス界から大きな関心が寄せられた。
大統領はスピーチの中で、メキシコが港湾をはじめとする大規模インフラ拡張を進め、アメリカ大陸の製造拠点として存在感を高めていることに触れ、シンガポール企業が数多くのビジネス機会に注目していると語った。一方で、メキシコ企業にとってもシンガポールはアジア、特に急成長するASEAN市場へアクセスする上で信頼できる拠点になると強調した。
さらに両国が「開かれたルールに基づく貿易体制」を重視してきた歴史に触れ、大統領は企業に対し、不確実性が増す世界でレジリエンスを高めるためにネットワークを分散し、複数地域に広がるビジネス機会を探るよう促した。特に、CPTPP(環太平洋パートナーシップ包括的・先進的協定)や、PASFTA(太平洋同盟–シンガポール自由貿易協定)などの枠組みを活用することで、新たな市場開拓につながる可能性を指摘した。
また大統領はアグアスカリエンテス、コリマ、ケレタロ、ユカタンの各州知事らと夕食会を行い、投資誘致戦略やエネルギー安全保障、そして低炭素社会への移行を巡る議論を交わした。各州はシンガポール企業にとっての新たな投資機会も提示したという。さらに朝食会ではメキシコの主要企業リーダーとの意見交換が行われ、物流、エネルギー転換、高等教育など幅広い分野での協力可能性が話し合われた。
文化交流の面でも、両国の関係は広がりを見せている。大統領は12月3日にコレヒオ・デ・サン・イルデフォンソで開催される「アカプルコ–マニラ ガレオン:We Are the Pacific, a World Born of the Tropics」展を開幕し、太平洋を結ぶ歴史的つながりを象徴する文化協力の深化を強調する予定だ。
訪問を終えた大統領は同日、ニューヨークへ向かい、G30(30人委員会)本会議への参加および理事会議の議長を務めるため移動する。今回の訪問は、経済・文化・地域連携の面でシンガポールとメキシコの関係をさらに前進させる節目として記憶されるだろう。














