英国の中央政府と警察における腐敗防止改革が一歩前進した。欧州評議会の腐敗対策機関であるGRECO(Group of States against Corruption)は、最新の英国に対する履行状況審査を終了し、2018年の第5次評価報告書で示された12の勧告のうち8つが「十分に履行された」と判断した。3つは「一部履行」、1つは「未履行」とされたものの、全体として重要な改善が確認された。
特に中央政府に関しては、閣僚の倫理規範である「Ministerial Code(大臣行動規範)」の運用強化が進み、独立顧問が規範違反の疑いについて自発的に調査を開始できるように権限が見直された点が大きな進展とされる。また、政府高官や特別顧問らの利益相反に関する指針が更新され、透明性向上を目的とした関連文書も改訂された。利益申告の公開頻度が高まったことも評価されているが、依然として利益相反のみに焦点が当たり過ぎており、より幅広いリスク評価が必要と指摘されている。
一方、警察機関においては、ほぼ全ての勧告が満たされたとされ、GRECOが「顕著」と表現するほどの進展が見られた。NCA(国家犯罪対策庁)では専用の倫理規範と新たな懲戒制度が導入され、不正行為を匿名で報告できる体制も整備された。ロンドン警視庁(Metropolitan Police Service)でも、職員の適正審査プロセスの強化や懲戒手続きの抜本的見直しが進み、内部・外部の通報経路も確立された。さらに、警察不祥事を扱う独立機関「Independent Office for Police Conduct」が稼働し、内部告発者の身元保護に関する法的措置も整えられた。
ただし、すべての課題が解決したわけではない。特に、退任後の職務制限の適用範囲が警察全体に十分広がっていない点や、特別顧問によるロビイストとの接触情報の公開が未実施である点は、引き続きGRECOが注視している事項だ。また、2024年に行われたロビー規制法(Lobbying Act)の事後評価で示された改善提案を踏まえ、さらなる透明性の強化が期待されている。
総じて、英国は中央政府と警察の双方で腐敗防止体制を大幅に改善しつつある。今後は、依然残る未履行の勧告にどう取り組むかが鍵となり、政治倫理やロビー活動の透明化に向けた制度改革がどこまで具体化するかが注目される。GRECOは、英国当局に対し今後の進展について継続的な報告を求めており、改革の流れが持続するか否かが今後の焦点となる。














